神奈川大学吹奏楽部で指揮者を務める甘粕宏和さんが11月にイタリアで行われた指揮者の国際コンテストで2位に輝いた。各国の指揮者28人による3日間のコンペティション。甘粕さんは「ライバルであり音楽仲間との時間は貴重な経験になった。今後もまだまだ成長していきたい」と振り返った。
イタリア・シチリア島で
イタリア・シチリア島のモディカで行われた「第3回フレデリック・フェネル国際吹奏楽指揮コンクール」は、映像による事前審査を通過した28人が出場。7人4グループの1次審査、8人での準決勝、3人での決勝と3日間開催される。事前に伝えられた候補曲の中から抽選で当日の課題曲が決定され、指定時間内で楽団とのリハーサルや演奏を実施。指揮の技術に加え、リーダーシップなどが総合的に評価される。
甘粕さんは2021年にポーランドの国際大会で優勝。それ以来のコンクール出場となった。演奏を担う楽団は現地イタリアの演奏家。日本語はもちろん英語もあまり伝わらない中、顔の表情やジェスチャーでメンバーたちをまとめ良質な演奏を引き出した。「極論を言えば、プロの音楽家なら指揮者不在でも演奏は成立する」と話し、「指揮者として、自分だからこそ表現できる音楽性を示せるかが重要」と指揮の世界の魅力を語る。
スペインと中国の指揮者との決勝審査では、劇場に一般客を招待しての演奏会も開催。コンクールでありながらも互いに協力し合いより良い音楽を共に作り上げた。結果は惜しくも2位となり、「もちろん悔しさはある」と話す甘粕さん。しかし、「参加者や審査員と過ごした3日間でたくさんの学びや刺激もあった。自分もまだまだ成長していきたい」と充実した表情を見せる。
現在は、昨年から指揮者を務める神奈川大学吹奏楽部との新春定期演奏会に向けて準備を進める。「本場で体験したイタリアの楽曲も披露する。100人近い全部員での迫力の演奏を楽しんでもらいたい」と話す。
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