横浜市は市民の公共交通空白地帯での移動環境整備を目的に、地域交通の新たな制度を今年4月から導入する。いわゆる「プッシュ型」で積極的な支援を行うほか、高齢者の外出促進を目的に敬老パスの補助対象拡大などが予定されている。
横浜市は2007年から「地域交通サポート事業」として、既存バス停から自宅までが遠い地域などで、生活に密着した地域交通導入に向けた地域の主体的な取り組み(移動手段の確保や持続可能な運行)への支援を行ってきた。
これまで市内17地区で本格運行に結び付いたが、あくまでも地域の主体的な取り組みを前提としたもののため、機運の高まりから運行まで4年ほどかかったケースや担い手不足による活動停滞、また採算確保が見込めず本格運行に至らないなどの課題があった。
そこで今回、従来の事業に代わるものとして4月以降に制度の一新を決定した。
行政プッシュ型
新制度のキーワードは「プッシュ型」。地域への意向確認や運行計画の提案などを地域主体から行政発信で地域に行うようにする。
具体的には鉄道駅から800m、バス停から300m以上離れた地域を公共交通圏域外と定義し、そのうち面積の大きい50地区程度を優先的に取り組みを進めるエリアとし、地域の自治会町内会などに地域交通導入の意向を確認していく。市ではこれにより導入検討期間を従来より1〜2年短縮することを見込む。
敬老パスと連携も
また本格運行に至った際の運行経費を年間600万円を上限に補助するほか、ボランティアへの謝礼も支援内容に加える。そのほか、タクシー業者等が運行する地域交通でも敬老パスによる運賃割引ができるよう検討している。
市では本格運行経費の市費負担を最大年間3億円と想定。所管する都市整備局では「補助に頼らない継続運行のために、利用啓発の周知などは行っていきたい」としている。
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