昨年末以来、価格高騰が大きく報道されているキャベツ。神奈川区内のスーパーマーケットでも例年より高い価格が見受けられる。市内で生産される「横浜キャベツ」の大半は、羽沢・菅田・神大寺など神奈川区で作られているもの。羽沢町で長年キャベツ農家を営む内田洋幸さん(70)に実情を聞いた。
本紙記者が1月13日からの週で神奈川区内にある複数のスーパーマーケットの店頭を確認したところ、キャベツ1玉の価格は税抜で350〜500円前後だった。店舗によってばらつきはあるが、概ね平年よりも高値と言える。
区内に約40軒あるキャベツ農家のひとり、内田さんは50年近く農業に従事している。羽沢小学校の目の前などに70アール(約7千平方メートル)の畑を持ち、農協を通じて市場出荷。同小のキャベツ栽培にも協力している。
そんな内田さんは今回の状況に「半世紀やってきた中でもこの時期にこんなことは初めて」と戸惑いを見せる。
高温で発芽せず
価格高騰の要因と言われるのが出荷量の減少。内田さんの場合10〜11月に収穫する分を7〜8月に種まきしているが、猛暑の影響で地温が35度を上回る状態が続き、多くの種が発芽しなかった。
ようやく育った苗も、高温と小雨の影響で順調に育たず。追い打ちをかけるように猛暑の影響で害虫が大量発生。サイズが小さかったり虫に食われたりと、出荷の出来ない規格外の商品が多く、農家によっては平年の3割減の出荷量だったという人もいたという。
秋短く生育不順
11月以降出荷分の遅植えのものについては暑さや害虫の被害は多少弱まったものの、秋の期間が短く1カ月ほど雨が降らず気温も急激に低下したため生育不順に。だんだん温暖になるため成長速度が速まる春キャベツと違い、出荷できるサイズに成長するまで時間がかかった。例年は年内で終えていた出荷も、今季は1月中旬までずれ込んだという。
「商品価値」理解を
「克服は難しいが、こういう天候はこれからも起こりうる」と内田さん。すでに物価高の影響で種や肥料、出荷用の段ボール代などが高騰。加えて発芽を促すための日除けの導入など、更なる設備投資が必要となる。
一方で消費者からは「安さ」を求められる中、「このままではキャベツ生産に魅力を感じない農家が増え、生産者が減りかねない」と内田さん。「価格が上がっても農家の収入に反映されない中で『200円でも高い』と言われると農家としてはつらい。今までの価格が適正だったのかどうか、消費者の考えも変わってほしい」と訴えた。
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