神奈川大学人間科学部大後栄治教授とキユーピー株式会社の共同研究プロジェクトがこのほど、同大学駅伝チームの協力で「卵白ペプチド」の抗疲労効果が実証された。骨格筋組織の損傷を抑制する成分も発見され、特許を出願。今後は、商品化も検討している。
キユーピーは、マヨネーズや卵加工品を扱う大手食品メーカーとして長年、卵の加工技術や機能性の研究を続けてきた。卵白たんぱく質に注目した研究を行い、これを酵素で分解することにより、「卵白ペプチド」を開発。卵が持つタンパク質などに加え、疲労との関わりが深い酸化を抑える抗酸化力が強いことがわかった。
同社は効果を実証するため動物試験を実施。持久力の向上効果が認められるようになり、長距離ランナーを対象とした抗疲労効果の検証を行う共同研究のパートナーを模索していた。神奈川大学でスポーツ生理学を専攻し、陸上競技部駅伝チームの監督として生化学的に選手を指導している大後教授は「卵が素材のため、安心感がある」と研究に同調。同大学駅伝チームの協力で共同研究が2014年から開始された。
「卵白ペプチド」は、白い粉末でわずかに特有のにおいがするのが特徴。まずは、長距離ランナーが無理なく摂取できるサンプルの開発に着手。同社が高齢者向けの栄養補助食品を作っていることから、そのノウハウを生かし「卵白ペプチドゼリー飲料」を開発し、ランナーへ提供した。
特許を出願
合宿を用いた試験後の選手へのアンケートの結果、自覚的疲労感の改善傾向が見られたほか、血液解析により「血中クレアチンキナーゼ濃度上昇抑制用組成物」を発見。この成分は、抗疲労効果だけでなく、骨格筋組織損傷を抑制することがわかった。大後監督は「選手への負荷なく継続ができ、信頼できる素材という点に可能性を感じ特許出願に至った」と話し、今後は、ゼリー飲料のタイプでも商品化を検討している。
同社広報部は「アスリートに限らず、身体を動かすことと、栄養の摂取は大切なこと。今後も卵や野菜などを組み合わせた食生活の提案を通して健康に貢献していきたい」と述べた。
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