家族向けの認知症介護相談を30年間続けている 五島 シズさん 犬蔵在住 85歳
諦めない心を伝えていく
○…認知症ケアの草分け的存在として知られている。キャリアは62年に及び、30年前から始めた家族向けの認知症介護相談は3万件を超えた。大学病院や認知症専門病院、介護施設、インターネット上でも認知症介護の相談を受けている。「あっという間の30年間だった」と振り返る。「困っている人を見ると放っておけない。人との関わりが好きなのね」
○…1928年、栃木県に生まれた。小さな頃から国のために尽くしたいと思い、従軍看護師を目指し看護学校に入学したが終戦を迎えた。卒業後は日赤医療センターで27年働いたのち、聖マリアンナ医科大学病院へ精神科病棟婦長として転職した。1989年に退職後は横浜市総合保健医療センター看護部長や東横恵愛病院参事を務めた。現在は講演活動やボランティアなど多方面で活躍している。「スタッフに恵まれ、辛いと思ったことはなかった」
○…医学的に認知症を痴呆と呼んでいた時代、認知症は歳をとれば発症し、仕方のないことと思われていた。しかし、聖マリ医大精神科の長谷川和夫教授と出会うことで考えは一変した。患者や家族に対してもっと何かできるのではないかと考え、現代では当たり前となった認知症者への訓練法をいち早く取り入れた。家族に対しても「家族が柔軟に変わること」をポイントにアドバイスしてきた。
○…認知症という名前がついてからはオープンなイメージになり受診や相談をする人が増えたという。相談に訪れる家族には「認知症の人をコントロールしようとするのではなく諦めずに一緒の立場で考えたり話かけたりすることが大切」と話す。現在、犬蔵でひとり暮らし。勤務先まで1時間かけて歩くことも。仕事のスケジュールはびっしり。空いた時間はボランティアや趣味でこちらもいっぱい。「動くことが好きなのね。若手育成、患者のためにも、自分が学んできたことを伝えていく」とほほ笑んだ。
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11月22日
11月15日