服飾品の製造や販売などを行うハンドメイドのファッションブランド株式会社ビヨンドザリーフ(楠佳英代表取締役社長)=宮前平=が、高齢者手編みマスクを販売し、売り上げを医療従事者に寄付するプロジェクトを行っている。同社は、高齢者の編物技術の継承と社会参加を目指して2015年に起業。現在高齢者が活躍し、同じ立場の高齢者たちに勇気と希望を与えている。
「編みマスク100枚ドネーションプロジェクト」と銘打ち、同社で製作にあたっている高齢者らが手編みのマスク100枚を製作。インターネットで販売し経費を抜いた売上げ全てを、NPO法人ピースウィンズ・ジャパン新型コロナウィルス緊急支援対策事業に寄付する取り組みだ。
新型コロナウイルスの影響で同社アトリエ=港北区=も3月から店を閉めざるを得ない中、スタッフが「何かできることはないか」と発案。ただ寄付するだけでなく販売し売り上げを寄付することで「色んな人を巻き込める」(楠代表)と、この方法に至った。
マスクは同社内のシニア編み手として活躍する5人が製作に当たった。マスクは1枚1400円。国産糸を使用しチクチクせず洗って何度も使用できる。5月7日に同社ホームページ(https://beyondthereef.jp/ja/)で販売を開始した所、即日完売。30枚を追加製造販売したが、これも即日完売、再度の追加販売70枚も5月18日時点で完売間近となっている。編み手の楠美智子さん(74)は「好きな編物ができ、これが誰かのお役に立てるのであれば本当にうれしい」と話し、楠代表は「普段支援される側の高齢者が、支援する側に立ち人生や社会をより良い方向に変えていく活動を可視化することで、ほかの高齢者たちにも勇気と希望を与えることができる」と胸を張る。
世代を超えて
起業のきっかけは、夫を亡くし一人暮らしとなり、元気をなくしていた義母だった。当時ファッション誌の編集者だった楠代表が、編物好きな義母にイメージ画を渡すと素晴らしいクラッチバッグが仕上がった。作品が同僚に評判となり、楠代表はブランド化を決意。3カ月で義妹とインターネットサイトを立ち上げ、販路も確保した。
楽しそうに商品製作にあたる義母を見て「同じように生きがいづくりの手伝いができるのでは」とコミュニティカフェの編物サークルも巻き込み、仲間は増えていった。すべて手作業だが、1cmの違いでも編み直し。カフェメンバーは茶飲み仲間ではなく仕事を請負う仲間として成長。さらに「子育ての合間に編物をして社会と繋がっていたい」「親の介護があるため在宅で仕事がしたい」という女性らも加わり、今では40〜80代の女性約40人が集う。楠代表は「ママさんたちがおばあちゃまたちに編物を習い、若い人たちが注文するという世代を超えた交流がうれしい。作品を通して色々な人が繋がると良い。好きな事、得意な事で無理なく楽しく社会に参加してもらい、ストーリーを届けられたら」と話した。
![]() 手編みマスク=同社提供
|
<PR>
宮前区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|