写真展『戦争暮らし』を主催する 小池 汪(おう)さん 宮崎在住 87歳
時代切り撮り 拓く未来
○…まるで不思議の森にでも迷い込んだかのよう-。自宅はマンション立ち並ぶ宮崎台駅の目の前。ほんの少し道を入っただけで、色とりどりの緑に彩られた里山のような風景が一気に開ける。「国払い下げの土地を、昔のままの地形で残してある」。戦後、大工が一人で建てるのを手伝った。玄関の引き戸をくぐれば囲炉裏もある。「『今だけ・金だけ・自分だけ』の3だけ主義ではだめ。ビルは建てずに、この風景を未来に残していきたい」
○…世田谷で生まれ小学生の時に、通称東部62部隊の軍属だった父の仕事の関係で、宮前平に移り住んだ。自身も同部隊で訓練を経験。やがて終戦し、友人に借りた簡易カメラ『コニレット』との運命の出会いを果たす。初めて収めた一枚は現在の宮崎台周辺だが、畑と森だけだった。カメラの魅力に憑りつかれ、日本初のデザイン教育機関へ入学。プロカメラマンとして活躍した。「東急が入ったことで激変する自宅周辺を撮って残していきたかったのかもしれないね」とぽつりと呟いた。
○…写真はパソコンで管理しており電子機器の取り扱いはバッチリ。左手にはスマートウォッチがきらり。「健康管理だよ」と笑う。広い自宅の手入れは、ほぼ自分でやるなど多才。「この歳で写真展を主催する人もそういないのでは」いたずらに笑った。
○…「影向寺」や「川崎50年」などの写真集を発行。市内各地で見る歴史ガイドパネルの写真や、「川崎地名百人一首」は当時の市長に頼まれて撮ったのだとか。「地域・川崎が仕事のテーマだよ」と地元愛をのぞかせる。父の影響から戦争に関する写真展を開いている。「ただあったこと、事実を伝え、何かを感じてほしい」
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11月22日
11月15日