職人技を駆使し、受験生や闘病者向けにカツ丼キーホルダーを製作している 田中 信司さん 水沢在住 46歳
本物以上に美味しそうに
○…昨年、市内で唯一の美術食品模型会社の2代目に就任した。「かわさきマイスター」に認定されている父の背中を見て育ち、「食品サンプルは見た目が勝負。本物以上に美味しそうに作らなければならない」と職人の心意気を継ぐ。その道を極めようと「日々精進」の毎日だ。数年前に父が私的に作ったミニサイズのカツ丼が「受験や闘病のお守り」として口コミで人気となり、商品化に着手。今年は「アマビエ」のシールを添えて「コロナに勝つ」意味合いも持たせた。「カツが沈まないように気配りしながら造りました」と食品サンプルで培った技術を駆使し、一つ一つ手作りにこだわる。
○…幼いころからモノ作りが得意。高校卒業後に調理師免許を取得。築地の寿司店で修業していたが、家業を継ぐため戻ってきた。あれから26年。当時は飲食店向けの仕事が主だったが、近年はTVドラマやCMで使用する小道具の依頼も増えてきた。「誰もが美味しいと思える一瞬をとらえることが難しい」。ワークショップを開くなど、小中学生のキャリア教育の活動にも注力。「ゼロからモノを作り出す楽しさを伝えたい」。地域では稗原小のPTA会長を務めた。父の会にも所属し、警察や消防、自衛隊を招いた「防災防犯キャンプ」を開催したことが一番の思い出だ。
○…数年前から日本食ブームに手応えを感じている。食品サンプルは日本独自の文化のため、インターネットを活用しての海外進出も視野に入れる。現在は両親と妻の4人で業界をけん引。娘2人には継がせる気はなく、「自分の代でやりつくす」とキッパリ。「カツ丼サンプルキーホルダーを様々なことに挑戦する人たちに手にしてもらいたい」。自らを鼓舞するように語った。
|
|
|
|
|
|
11月29日
11月22日