多摩川河川敷内にある北見方第1、第2球場で、宮前区の野球チームの利用が増加している。市は不正登録などによる「球場予約の激化」を受け、昨年10月からハガキによる抽選に変更。4月からは宮前区や高津区の軟式野球関係者に利用調整を委託するなど、公平性を保つ策が功奏。市外チームの独占状態だった土日祝日の利用状況が一変した。
同球場の利用予約をめぐっては、これまでは市が公共施設利用予約システム「ふれあいネット」で管理していた。しかし、昨年7月に不正ログイン操作でアカウントが大量にロックする事態が発生し、ハガキによる申し込みに変更となるなど、構造的な問題が指摘されていた。区内の野球関係者は「数年前から土日の予約は倍率が高すぎて全く取れなかった」と振り返る。
川崎市は、整備や不適切利用などを理由に北見方第1、第2球場の使用を今年1月から3月まで休止。4月からの使用再開にあたり、宮前区と高津区の軟式野球関係者が設立した利用調整団体「川崎・北見方軟式野球協議会」に管理を委ねた。同協議会には現在、主に宮前区・高津区の68チームが加盟し、調整し合いながら北見方球場を利用している。
川崎硬式野球協議会での行政と一体となった球場管理が評価され、新団体の代表となった加藤純一さんは「軟式球場で硬式球の使用などが続いていることが分かり、地域による自主管理の仕組みを進言した」とこれまでのノウハウを取り入れた経緯を語る。
宮前のチームが利用調整団体に入った理由の一つに、市議会へ提出された2016年の「請願」の採択がある。区内には野球専用のグラウンドがなく、当時の市議会でも区内の野球グラウンド確保に努めていく方向性が共有された。今回の北見方球場の利用拡大は、地域課題解決へ向けた一歩にもなった。中学生クラブチーム「川崎宮前ドリームス」の石倉周監督は「毎週のように練習できる環境になった。近隣中学校との交流の場にもなっている」と話した。
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