白土新体操クラブを運営するNPO法人ミライポップ・アカデミー(白土祐史理事長・42)が、ウクライナから避難してきた子どもたちに向けて、無料の体操教室を開催している。参加者は足立区や藤沢など市外からも訪れ、避難者のコミュニティーの場にもなっている。
教室は毎週月曜日の午後5時から1時間、フロンタウンさぎぬまの多目的ホールで開催している。9月12日に行われた会には、6歳と7歳の5人の子どもが参加。柔軟や、ボールを使った体操などの初級レッスンを行った。講師の明瀬イリーナさん(42)は「心に傷を負っている子もいる。きつく叱らず、自由に少しずつ進めるようにしている」と注意を払う。教室を毎日楽しみにしている子どもも多い。一方、参加者の中には、自宅にミサイルが落ち、死体が転がる中を命からがら逃げてきたことを思い出して、突然泣き出す子もいたという。
子どもが教室を楽しむ間、保護者らは思いおもいに過ごして待つ。「色々なコミュニティーの場があるが、子どもは子ども同士、親は親同士で交流できてありがたい」。言葉の壁があるため、教室が不足する情報を交換する交流の場にもなっている。
できる範囲で最大限
ロシアのウクライナ侵攻のニュースを見た同クラブの白土さんが、「できる支援はないか」と発案。ウクライナ大使館や出入国在留管理庁などに問い合わせたところ、日本への避難者は6月時点で約1300人、8月には1800人に増えており、そのうち400人ほどが東京か神奈川に住んでいることがわかった。「『新体操大国』として知られるウクライナの子どもたちが、せめてストレスなく過ごし新体操を続けられたら」と、生業としている体操での支援を決めた。
講師のイリーナさんはクラブ生の保護者。ウクライナ出身で、新体操の講師経験者だったことから協力を依頼した。「感謝したい。できることをやらせてほしい」と快諾し、通訳も務めている。
開催の告知は、ウクライナ避難者向けのウェブサイトに掲載されているほか、フェイスブックのウクライナ人コミュニティーページでも周知している。事前申し込みを受け付けていないため、来場があるかも分からない中、初回となった8月1日は2人の子どもと保護者が訪れた。白土さんは「苦しい状況が続いているが、応援している」と伝えると感謝され、「やって良かった」と涙したという。
白土さんは「各業種でできることがあるはず。これを起因に支援の輪が広がっていくことを願っている」と期待を込める。現在教室は、場所を確保できた2月までを予定しており、「できる範囲の中でだが、やれることは最大限やっていきたい」と抱負を話した。
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