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宮前区 社会

公開日:2023.03.24

【4】樹木医に聞く 教えて先生!
春の風物詩「桜」について

  • 自宅のソメイヨシノを説明する伊藤さん=18日

 宮前区の区の木に制定されている「サクラ」は、区内に広く分布し、鷺沼駅前や宮崎台駅前、平瀬川流域など名所も多い。そこで今回は、樹木医で野川の森の保全団体「野川はあも」の代表・伊藤菊代さん(60)に、桜について聞いた。

 有馬在住の伊藤さんは農業大学を卒業後、目黒区役所で公園緑地の事業に携わった。造園業を営む父の勧めで36歳のときに樹木医の資格を取得。現在は杉山神社(高津区)の椎の木など、「川崎市まちの樹50選」の樹木などの診断や治療を行う。

 桜と言えばソメイヨシノが有名だが、街路樹などに植える大きな品種から、個人の庭に植える中程度の品種まで、さまざまな種類があるという。3月14日、東京・靖国神社の桜が開花したと発表された。これは観測史上最も早い記録に並ぶ開花だった。「以前は入学式に満開となるイメージだったが、このままだと卒業式になってしまうかもしれない」と地球温暖化の影響を憂う。

 「農家たちは、山桜の開花を農作業を始める合図としていた」。かつて桜は、季節時計の役割を果たしていた。明治以降に、日本人の「お花見文化」も相まって、人の手によりつくられた栽培品種が全国に広がったという。「花だけを愛でるのではなく、夏の日差しを遮る緑葉も、紅葉した秋も、落ち葉となる冬も、1年を通じて見てほしい」と思いを語る。

 区内の桜については、「駅前の桜のトンネルは壮観」と強調。一方で、「ソメイヨシノは枝が横に広がる習性があるので、平瀬川など広い場所で植えるのに適している。街路樹として植える際には、将来を見据えた品種を選んだ方が良い」と指摘する。「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」の諺があるように、個性に応じた手のかけ方をすれば桜に寿命はないとも教えてくれた。   

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