保存整備が進む国史跡橘樹官衙遺跡群で9月23日、復元する倉庫の建方開始に先立ち、立柱イベントが開催された。市は7世紀後半の倉庫1棟の復元工事を行っており、周辺一帯の公園も含め、5月に披露予定だ。
市は昨年度から史跡公園整備事業に着手。役所跡である千年伊勢山台遺跡=高津区千年=には税を納める倉庫「正倉」があったことから、倉庫の復元を行っている。特殊な建築技法や古代の大工作業で進められる。
建物の工事開始にあわせ、立柱イベントが企画された。当日は周辺の町内会・自治会、高津区や宮前区の観光協会、史跡の保存活動を行う団体のメンバーらが約20人が出席。足場が組まれた工事現場内の広場に入り、4つ角に柱を立て、復元工事の無事を祈った。
立柱後には雅楽も行われ、周辺住民も見学に訪れた。国内外で活動する(公社)北之台雅楽アンサンブルが舞楽(舞と器楽の演奏)「陵王」を披露。近隣に住む女性は「こんなに近くで見られておもしろかった。公園完成後にもまた見たい」と感想を語った。
倉庫は3月に完成、5月に記念イベントを予定する。市教育委員会の担当者は「今後、屋根の茅葺きや工事の様子も地域の皆さんにも見学いただけたら」と話している。
同史跡は、武蔵国・橘樹郡の役所跡である千年伊勢山台遺跡(橘樹郡家跡)と、隣接する古代寺院跡の影向寺遺跡=野川本町=から構成される。7世紀から10世紀の地方行政組織の成立背景や推移をたどることができる遺跡として、2015年に市内初の国史跡に指定された。
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