川崎市は家族の死去に伴う手続きに必要な情報をまとめた「おくやみガイドブック」を4年ぶりに大幅リニューアルし、各区役所に配布した。今後は区役所内に「おくやみコーナー」を開設し、ガイドブックとあわせておくやみ関連の行政サービスを拡充する方針だ。
高齢化社会に対応するため、市は2020年4月から「おくやみガイドブック」を作成し、各区の担当窓口で配布してきた。これまでは主要な情報のみを8ページのリーフレットにまとめていたが、手続きの煩雑さや手続きに訪れる遺族の高齢化などから、現場で対応にあたる区職員との意見交換会を実施のうえ、60〜70ページに増補した。
リニューアル版では、故人が会社員か自営業者か、国民健康保険加入者だったか厚生年金加入者か、といった60以上の「各種手続きチェックリスト」を巻頭に掲載。このリストをもとに該当するページを開けば必要な手続きと、問い合わせ先などが具体的に分かる構成になっている。巻末では「銀行口座凍結解除の手続き」など、区役所以外で必要な手続きも一覧表にまとめてある。
市の担当者は「区役所での様々な手続きをスムーズに進められるよう、可能な限り故人と遺族の状況に対応したものになるよう工夫した」と説明する。
例えば「世帯主死亡の場合で同一世帯に世帯員が2人以上いる」に該当する場合、「世帯主変更届」の手続きが必要で、世帯主の死去から14日以内に行わなくてはならず、「区民課の住民記録第1係」(幸区の場合)が窓口だと分かる。故人が「犬を飼っていた」場合、死去から30日以内に「犬の登録変更の届出」が必要で、新たな飼い主の居住地に応じて手続きも違うことが分かる。
市は2024年度予算の「7区共通予算」として、各区の「おくやみコーナー開設」の費用約3900万円を計上。今後は各区で整備を進め、対応窓口として遺族や関係各課と調整のうえ必要な書類をそろえるなど、新たな運用を始める方針という。市の担当者は「ガイドブックの活用とコーナーの開設で、ご遺族の負担軽減に努めていきたい」と話している。
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