全国初となる飛鳥時代の倉庫を復元した「橘樹歴史公園」(高津区千年)が5月18日(土)にオープンする。同園は武蔵国・橘樹郡の役所跡に完成。川崎市の担当者は「具体的にイメージをしながら、1300年以上前の地域の歴史を感じてもらえれば」と話している。
同園は2015年に指定された市内初の国史跡・橘樹官衙遺跡群に位置する。史跡は千年伊勢山台遺跡(橘樹郡家跡)と隣接する古代寺院跡の影向寺遺跡(野川本町)から構成。7世紀から10世紀の地方行政組織の成立背景や推移をたどることができるとされる。
1996年に行われた遺跡の発掘調査で、市は東西に並ぶ7棟の掘立柱建物跡を発見。稲などを保管するための正倉とみられ、その後の調査で7世紀後半から8世紀に造営、平安時代の9世紀中ごろに姿を消したことが明らかになった。
全国初の取り組み
23年に倉庫復元を含む公園整備工事に着手。全国で初めて飛鳥時代の倉庫1棟の全体と、3棟の柱の一部を遺構に復元した。高さ約9・3mの倉庫の構造は、柱を建てず板材を汲んで屋根を支える「板校倉造(いたあぜくらづくり)」。屋根は茅葺きだ。古代の大工道具「手斧(ちょうな)」「ヤリガンナ」を使用するなど、可能な古代の技術・技法を採用し、飛鳥時代の建物を再現した。倉庫は通常閉じられているが、市では年に数回、倉庫内の見学会も計画している。
「鍵をかけて」スタート
オープン当日は、地元関係者や市長、議員らを招いて記念式典を開催し、倉庫に鍵をかける「閉封(へいふう)の儀」を行う。厳重に鍵をして管理される必要のあった倉庫をふまえた、古代の儀式風のセレモニーだ。市教育委員会の担当者は「正確な再現ではないが、当時を感じられるセレモニーをもって歴史公園のはじまりとしたい。市民の皆さんには市制100周年の節目と一緒に祝ってもらえれば」と思いを語る。
雅楽「賀殿」の上演、クラウドファンディングで製作した再現衣服の披露も予定。午前10時から正午まで。一般参加も可、先着200人。(問)市教委文化財課【電話】044・200・0403
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