「人の役に立ちたいと思って、髪を伸ばし始めた」。そう語る鷺沼小4年の藏本将也さんは、6月15日に2年半伸ばし続けた髪を切り、目標だったヘアドネーションを行った。
ヘアドネーションは病気等で頭髪に悩みがある人のために髪を寄付する取り組み。寄付された髪でウィッグを製作し、必要な人へ無償提供する。
将也さんは、中1の姉がこれまで3回ヘアドネーションに取り組んでいたことで興味を持った。姉の姿に「自分もやろう」と、小2から髪を伸ばし始めた。
伸ばすことに迷いはなかった。それでも髪が長くなると、学校では「女子みたいな人がいる」「あれ?なんで髪長いの?」と言われることも。それらの言葉に将也さんは「ドキドキした」というが、聞かれる度にヘアドネーションや伸ばしている理由について、説明をしていった。
容姿だけの判断で女の子と間違われることもよくあった。そんな反応にも笑えるようになった。母・しづ子さんは「『今日は何回女の子に間違われるかな』と逆手にとるようにもなって。何を言われても動じなくなった」と息子の変化を語る。
将也さん自身も、髪を伸ばし続けたことで「だんだん強くなったと思う」と話す。当初は苦戦していた、ヘアブラシでとかすことも、ひとつに結うことも、慣れた手つきでできるようになった。長髪姿もポジティブに捉えており、戦国武将、特に徳川家康が好きなことから、「家康みたいになれて楽しかった」と笑顔。
カット前日。長さは40cm以上になった。「長くて邪魔だなーと思ったこともいっぱいあったけれど、頑張って伸ばしてきた。切ることにもワクワク」と心境を語った。
◇ ◇
ヘアカットは宮前平の美容室「アルコバレーノ」で行われた。将也さんの髪は美容師によって束に分けられ、切り出された。鏡越しに、久しぶりに髪が短くなった姿を見た将也さんは「全然ちがう!」と驚きの声。その後きれいに整えられると、「頭が軽くなって変な感じ」とつぶやいた。切り出された髪は、同店からウィッグ製作の工場に送られるという。
生活の変化もあり、しばらく髪は伸ばさないつもりだ。一つの目標を達成し、「(製作されるウィッグが)誰かに使ってもらえて貢献できたら」。将也さんはすっきりとした表情で語った。
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