高齢化にともない、年々増加している認知症の患者数。厚生労働省の研究では、2025年には65歳以上で約675万人(有病率18・5%)と約5人に1人が認知症になると予測されているほど、私たちにとって身近な病気となっている。
川崎市初の認知症専門病院である「かわさき記念病院」(潮見台)では、その原因となる幅広い疾患に対応。認知症の予備軍とされる疾患「MCI(軽度認知障害)」の治療にも注力しており、毎週水曜日にはMCIの可能性をチェックする「ブレインチェック外来」も設けている。
同院で日ごろ多くの患者を診療する脳神経内科・診療部長の稗田宗太郎医師に、MCIの症状や認知機能をより良く保つために大切なことについて話を聞いた。
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MCIは認知症の前段階とされる状態で、記憶力や注意力などの認知機能の低下はあるが、日常生活には支障がないのが特徴だ。「家族や同僚から『物忘れが最近多い』と指摘され受診するケースが多いです」と稗田医師は話す。
診断は、患者への診察と複数の検査を経て行う。「症状が進行し認知症となるのか、そのままなのかはケースバイケースですが、放置すると日常生活に支障が生じてくることも。早期に発見できれば今後の予測ができ、治療の選択肢が広がります」と説明する。
認知機能を保つために心がけることは、バランスの良い食生活や有酸素運動などがあるが、稗田医師は「外部の人と会話し、社会とのつながりを持つこと」と強調する。加齢とともに外出の頻度も減りがちだが、社会と積極的につながりを持ち、脳を活性化させることが大切だという。
「MCIは軽度だからこそ診断が難しい分野。少しでも不安があれば、医療機関に相談を」と同院では呼びかけている。
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