行政サービスを一括して担える「特別市」を目指す川崎市は、福田紀彦市長による約6分間の解説動画を作成し、8月8日に公開した。市のウェブサイトやユーチューブで配信中だ。
特別自治市制度は、1947年に地方自治法が施行された段階では、大阪市や横浜市など大都市の将来的な選択肢として規定されていた。しかし56年の同法改正時に削除され、代わりに「政令指定都市」が新設された。
川崎市は人口が98万人に達した72年に政令指定都市に移行し、以後は行政サービスの約8割を担い、残りの2割は神奈川県が担う。例えば保育園に関する設置認可手続きやトラブル対応は市が担うが、幼稚園の場合は県が担当窓口になる。災害発生時には、自衛隊への災害派遣要請は都道府県の専権事項で、市町村は要請できない。
しかし人口の増加や少子高齢化など社会の変容に伴い、すべての行政サービスを市がワンストップで行える「特別市」へのニーズが高まり、全国20の政令指定都市の総意として、国に法制化を求めている。法制化された場合には速やかに市民に信を問う必要があるため、市は数年前からチラシやマンガ、動画などで制度の啓発活動に注力してきた。
今回の動画では、福田市長が幼稚園と保育園の窓口の違いや、コロナ禍でのワクチン接種業務の遅延の背景などの具体的な事例をあげ、特別市を「より良いサービスを、よりスピーディーに提供できる制度」と紹介。市民に対して「これからの時代に必要な自治体のかたち。私たちとともに一緒に考えて頂ければ」と訴えている。
市は自治会やPTAなどの団体を対象に、無料の「出前説明会」も開催している。問い合わせは地方分権・特別市推進担当(【メール】17tihobu@city.kawasaki.jp)。
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