児童100人と宮前区役所市民広場のベンチリニューアルを手掛けた 京森 康平さん 宮崎在住 39歳
エルメスが認めた美術家
○…世界を股にかけて活躍する装飾アーティスト。地域で表現したいと考えていた矢先、市民広場のベンチを、近隣小学校の100人の児童とリニューアルするオファーが舞い込んできた。作品のテーマは「100人の手の記憶」。2回のワークショップを経て、子どもたちは思い思いに装飾し、これまで殺風景だった空間がカラフルに彩られた。「参加した子どもたちの思い出に残るのはもちろん、使ってもらうことで未来につながる。街のシンボルになれば」
○…愛媛県の酪農家の家庭に生まれた。およそ牧歌的とは反対の都会的でクリエイティブな生活にあこがれ、高校卒業後に上京。当初はグラフィックデザインを学んでいたが、ファッションに目覚め専門学校へ。在学中に神戸市のコンテストで特賞を受賞し、イタリア留学の機会を得た。「物事をグローバルな視点で見る感覚を養えた。街中には壮大な建築物がいくつもあり、装飾美術に感銘を受けた」と今に通じる原点を語る。
○…ファッション業界になじめず帰国。28歳の時に独立し、広告デザインで生計を立てていた。2017年からアート活動を開始。作品はデジタルツールを使用し、樹脂や岩絵具などを重ねて仕上げる。世界各国の「装飾文化」をモチーフにした独自の世界観が、国内外から注目を集める。20年にはエルメスのスカーフコンペで123カ国、約5500人の中からグランプリを受賞した。
○…長女が生まれた10年前から宮前区内に住む。「ベンチの創作にも参加してくれた。独特な作風なんです」と目を細める。趣味は海外を旅し、知らない文化を見てまわること。「引き出しを増やし、アートによる社会的、政治的な表現にも挑戦していきたい」と学習意欲は尽きない。
|
|
|
|
|
|
11月29日
11月22日