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宮前区版 公開:2024年12月13日 エリアトップへ

20代続く農家 森さん 食用花の栽培に挑戦 「新しい農業の形」発信

社会

公開:2024年12月13日

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光量や養液の量などの管理が自動制御されている栽培台
光量や養液の量などの管理が自動制御されている栽培台

 高津区で代々農業を営んできた農家の20代目が、エディブルフラワー(食用花)の生産に取り組み始めた。「キラナ・ファーム」園主の森彰人さん(32)。エディブルフラワーを個人農家が生産・出荷するのは川崎で初めてという。

 エディブルフラワーは、食用に改良・栽培された花で、レストランや結婚式場で料理をカラフルに彩る食材として需要がある。観賞用の花とは栽培方法が異なり、人が安全に食べられるように無農薬や低農薬で育てられることが一般的だ。

 森さんの実家は高津区久末地区で代々続いてきた農家で、父で19代目、自身で20代目という歴史がある。

 「幼いころから農家を継ぐと決めていた」という森さん。大学卒業後にJAセレサ川崎で7年間勤務した後、3年前に退社し、父や祖母を手伝う形で農業に従事し始めた。家族と共に約70haの畑を管理しながら、今年9月から新たな挑戦として、エディブルフラワーの栽培を始めた。

気候変動が契機に

 きっかけは近年の気候変動だった。森家の畑ではキュウリやトマト、ブロッコリーなどの野菜を年間25〜30種類ほど栽培してきたが、猛暑や大雨の影響で収量が安定しなくなったという。森さんは「おそらくこの傾向は今後も続き、そう遠くない将来、この気候が普通になると思う」。気候に左右されない安定的な農業を目指し、考え付いたのがエディブルフラワーだった。

 エディブルフラワーの栽培方法は様々だが、森さんは専門の業者から、花のタネから養液、栽培機材や栽培ノウハウまでをパッケージで購入した。農地の一角に建てた栽培施設(約36㎡)内に機材を導入。温度や湿度、二酸化炭素濃度などを制御した状態で、5色のビオラとアリッサムなどのエディブルフラワーと、バジルなどのハーブを栽培している。

 11月中旬からはJAセレサ川崎の直売所「セレサモス宮前店」で試験販売も始まり、12月からは区内のステーキハウスでエディブルフラワーを使った特製サラダがメニュー入りした。今後は首都圏のレストランや結婚式場などへも販路を広げていくという。森さんは「この方法なら新規就農者も挑戦しやすい。新しい農業のスタイルとして発信し、都市農業を盛り上げていきたい」と意気込んでいる。

「農家を継ぐことは自然な流れだった」と森さん
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