川崎市人権オンブズパーソンは3月12日、市立学校で教員による体罰および不適切な指導が疑われる事案を調査した件で「市教育委員会の対応に課題がある」として市教委への勧告を行った。人権オンブズパーソンによる勧告は7年ぶり。
市は市民の人権救済機関として、「川崎市人権オンブズパーソン条例」に基づき人権オンブズパーソンを設置している。子どもたちや男女平等に関わる人権侵害があった場合に救済申し立てを受け、助言や支援、当事者の調査などを行い、市の当該機関に是正勧告を提出できる。勧告を受け、市側は検討内容を公表する義務がある。
今回は2023年度から24年度にかけて、市立学校で教員による子どもへの体罰や不適切な指導が疑われる事案があったとして人権オンブズパーソンが調査をしたもの。その結果、市教委の対応に「課題がある」として、改善を求める勧告を提出した。
勧告理由としては、市立学校の教員に関し、怒りに任せて子どもの腕をつかむ▽怒りに任せて子どもの足元の床に物をたたきつける▽子どもの人格を否定する内容の声掛けをしたり、意に沿わないあだ名をつけ呼んだりする、といった不適切な行動が確認された。
市教委や学校に関しては、不適切な行為の件で市教委から再々指導を受けた教員を、新たな学級の担任に任命した▽校内の情報共有が不十分だったため、当該教員が被害を受けた子どもに接し、子どもが授業を受けられなくなった、などの対応の不備が確認された。
以上のことから、市の子どもたちに対する人権侵害行為が認められたとして、子どもたちの安全を確保する十分な対応を取るなど、市教委に是正を求めている。
勧告書によれば、調査の過程で多くの子どもが当該教員の不適切な行為を「受けた」「見た」と回答し、調査に協力した子どもたちは泣きながら被害を訴えたという。このとき教育委員会の関係者も同席していたといい、その上で当該教員に再度担任を命じたことは「到底看過できるものではない」としている。
小田嶋満教育長は「教員の指導に課題が認められた場合、事案に応じて真摯に対応してきた。(勧告の)内容を精査し、対応を検討する」とのコメントを発表した。
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