高齢化が進む市営高山団地で昨年12月から毎週「出張販売会」が開かれている。急坂が多く、買物が困難な高齢者も多いことから、住民、宮前区役所、(株)東急ストアが連携して立ち上げた。住民主体で運営を担っていくため、自治会メンバーらを中心に3月9日、「高山土曜ストアを育てる会」が発足。更なる発展を目指す。
出張販売会「高山土曜ストア」は毎週土曜日午前10時30分から午後0時30分まで、市営高山団地集会所(平2丁目)で開かれている。
同団地では約5年前、近隣スーパーが撤退。現在一番近い店舗は距離600mほどだが、団地敷地内や周辺は急坂が多く、高齢者は買い物に苦労していた。
同自治会の高齢化率は52・6%(2017年)で半数を超える住民が65歳以上だ。黒川勝彦自治会長は「死活問題だった。どうにかしたいと考えていたとき、区役所から提案をもらった」と話す。
販売会では、(株)東急ストアの協力で野菜や果物、米、調味料、冷凍食品など約100種類の商品が並び、毎回多くの住民が訪れる。肉や魚などの生鮮食品は注文すれば次回購入が可能だ。
毎回足を運ぶという中城道子さん(83)は「野菜が新鮮で美味しい。近所の人と顔を合わせておしゃべりするのも楽しい」と話す。黒川会長は「品揃えが豊富で価格もスーパーに並ぶものと同じなので安心。住民の安否確認の場にもなっている」と話す。
3年を経て本格実施へ
出張販売会の取組が動き出したのは約3年前。東急グループの企業が「日常品購入のサポート」のアイデアを区役所に提案。協議を重ね、買物難民の多かった同自治会に声をかけた。(株)東急ストアが住民主体の販売会の支援をするのは初めてだという。同社担当者は「社会貢献として地域のために何かできないかと探っていた」と話す。
3者で検討、調整を重ね、昨年9月に試験的に販売会を開催。好評の声が寄せられた一方、様々な要望もあり、課題も見えてきたという。
「自宅まで重い荷物を運ぶのは大変」との声には、住民が玄関前まで配達することで対応。当初は売場が土足禁止だったが、「高齢なので靴の履き替えが大変」との意見を受け、室内にシートを敷いて土足での出入りを可能にした。黒川会長は「柔軟に対応できるのも住民主体だからこそ」と話す。
また、土曜ストアの取組は、10日に行われた地域課題解決のアイデアを競う全国コンテストで「アイデア賞」を受賞した。
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