カシノナガキクイムシ(以下カシナガ)の媒介する菌によって集団的に樹木が枯れる感染症『ナラ枯れ』の被害が、川崎市内で拡大している。東高根森林公園では燻蒸対応するなど、5月からのカシナガの飛散時期に備えている。
東高根森林公園の職員によると、昨年9月の調査で公園内の約100本にカシナガの入った痕跡が見られたという。その中でも状態がひどく、立ち枯れているのは20本ほど。コナラの多いピクニック広場に被害が多かった。県の予算でそのうち14本を2月から3月にかけて伐採し、2週間ほど燻蒸して廃棄した。
カシナガは古い大径木を好み、5月から10月に飛散する。感染樹木は紅葉シーズンを前に赤く枯れ、根元には虫が穴を空けた際に出るフラスと呼ばれる木くずが散乱しているのが特徴。景観への影響もあることから「被害が広がらないのが一番だが、これくらいしか対応できない」と話している。
市みどりの保全課によると市全体では、昨年秋に確認したカシナガによる被害とみられる樹木は約700本。8月末から発見報告が爆発的に上がり、市北部、特に生田緑地(多摩区)に被害が多く見られたという。
市は緑地の保全活動をしている団体等と協力し、「カシナガホイホイ」などの殺虫剤などで対策に当たった。しかし予防策は取りようがなく、被害により枯死した樹木の倒木が増加することも想定しなければならないという。公園利用者は「安全のための伐採は致し方ないが、その分植林もしてくれたらうれしい」と話している。
ナラ枯れは全国的に古くから発生記録があり、数年で終息したとされているが2000年頃から拡大。県では17年に箱根町などで確認され、市内では18年に生田緑地を皮切りに拡大の一途を辿っている。
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