高速大容量通信を特定のエリアで運用できる「ローカル5G」について、聖マリアンナ医科大学(菅生)や川崎市などの4者は2日、救急医療現場での活用に向けた実証実験を開始すると発表した。高精細映像伝送による情報共有や膨大なデータを有する人工知能(AI)を活用したシステムで、業務効率化など課題解決を目指す。
実証実験は総務省が公募した「課題解決型ローカル5G活用等の実現に向けた開発実証」によるもの。市や多数の救急搬送を受け入れる同大学病院に加え、実証に関する全体的な運営統括を行うトランスコスモス株式会社と課題解決システムを構築する株式会社NTTドコモの4者が、今月6日から開始した。
実験では映像・画像の共有や判定などの取り組みを進める。360度カメラや医師の手元映像による情報共有では、医師がスマートグラスを装着し、患者の状況を他の医師が遠隔から観察・把握。これまで重症外傷患者や多数の傷病者を受け入れる際、医師が現場に参集して状態を把握する必要があったが、映像共有で遠隔から専門性の高い意見を現場へ指示する事が可能になる。救急患者の移動時は容体の急変に備え複数人が付き添うなど、多く人手が必要だった。可搬式カメラによるリアルタイム配信により、遠隔から状況を把握できるようになる。その他、CT画像の生成や、大容量X線データの転送など、時間を要していた画像に関わる作業時間の短縮を進める。
位置のAI判定システムでは、重症患者に装着される気管内チューブなどの器具の位置が、適切かを解析する。5Gにより解析に必要な解像度の映像伝送が可能となるため、的確な診断を担保しつつ、患者の待ち時間削減などが見込まれる。
効率化目指し
開始にあたり2日、4者の関係者が福田紀彦市長を訪問。同大の松本純一救急放射線部門長が概要を説明し、医療の現状などを語り合った。松本氏は「より効率的で高度な医療体制を強化していきたい」と語った。福田市長は「実験を成功させ、取り組みを川崎から全国へ広げていければ」と話した。今後は実証での結果を踏まえ、本格的な導入や他地域での普及に取り組む。
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