特別養子縁組で子どもを迎え育児中の浅賀明日香さん(44)=五所塚在住=が講師を務める「お話会」が開催される。普及の進まない同制度について、浅賀さんは養子の受け入れを考えている人だけでなく「周囲に不妊治療で悩んでいる知人がいる人」「勉強のために聞きたい人」「子育て中の親」などに対し、広く来場を呼びかけている。「社会全体で子どもを育てるのが当たり前となっていけば」と期待を寄せる。
浅賀さん夫婦は不妊治療を経て、養子を迎えたい夫婦の支援などを行う団体(一社)ベアホープを通じて、特別養子縁組で2017年に生後10日の娘を迎えた。明日香さんは「出産の有無に関わらず子育ては大変で、子どもと問題を乗り越えていくことに変わりはない」と話し、夫の直人さん(51)は「自転車に乗せて公園に行く、一緒にハンバーガーにかぶりつく。そんな些細な事が信じられないほど楽しい」と幸せを噛みしめる。
明日香さんがこうした日常を「とても幸せ」とSNSで発信した所、多くの人から祝福の言葉が寄せられた。友人だけでなく、その友人らからも制度に対する相談もあったことが、周知活動を始めるきっかけとなり、今まで数々のトークイベントに出演している。明日香さんは「『妊活』なんて口にすらしなかったが、今では一般的になりつつあるように、養子縁組がもっと身近になれば。知ってもらうことが重要」と話す。
以前は、迎えた子に真実を告げない事もあったが、現在は子の権利として法律で告知することが定められている。「不安もあるが、同様に子を迎えた家族約300人がLINEでつながっている。気軽に相談できる環境がある」と強調。直接会う機会も多く、「いずれ子ども同士でつながれば」と思いを語る。
2月14日(月)午前10時30分〜正午に「お話会『養子縁組という家族のかたち』」をフラットガーデン(横浜市緑区中山5の4の7)で開催。明日香さんが制度や経験を語る。事前予約制。無料だが1ドリンク注文。申し込み・問い合わせは【電話】045・512・5649または【メール】flatgarden.yokohama@gmail.comへ。
市内希望者17件
特別養子制度は、さまざまな理由で実親と暮らせない子どもに養親子関係を築き、家庭環境の中で健全な養育を図る。1987年に創設され、全国で年間約300〜500件が成立しており、17年には600件を超え、20年は693件。厚生労働省の19年度養子縁組民間あっせん機関実態調査によると、川崎市の養親希望者申し込みは17件にとどまる。浅賀さんは「海外で養子は一般的だが、日本はまだまだ遅れている」と話す。
養子を受け入れるには、近隣の児童相談所(中部児童相談所【電話】044・877・8111)か、民間団体が窓口となり、年齢などさまざまな条件がある。
【特別養子縁組】生みの親との親子関係を断ち、育ての親と戸籍上も親子関係となる。子は15歳未満。裁判所の審判を受け成立
【普通養子縁組】戸籍上、生みの親と育ての親との、二重の親子関係を築く。子の年齢制限はなく、両親が契約する
【里親制度】生みの親の元で育つことが困難な子を預かり、家庭環境で養育する。子は18歳未満で児童相談所から委託される。行政からの養育費と手当を受給
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