宮前区内の安全・安心について語る扇山署長
日々発生している特殊詐欺や交通事故の被害。昼夜、地域の安全・安心に励む宮前警察署（扇山剛署長）に、最近多い手口や事故、事件・事故に遭わない、起こさないためにはどのような心掛けをすべきかを聞いた。
特殊詐欺被害１億２５００万円
宮前区内で特筆すべきは特殊詐欺の被害の多さだ。２０２３年１年間の宮前区内の特殊詐欺の被害件数は、56件（前年度比11件増）。川崎市内８署の中で最も多かったという。被害総額は約１億２５００万円で、前年度から約４７００万円増えた。今年に入ってからも、２月22日までの時点で14件、約２０００万の被害が発生している。
手口として多いのは、「オレオレ詐欺」「還付金詐欺」「架空請求詐欺」の３つ。野口貴路生活安全課長は「次々と新しい手口が出てきているが、家族を騙る者から『鞄をなくしてお金がないので振り込んでほしい』などの連絡が入るという、原点の手口に戻っている」と話す。
被害者の声として共通するのが「自分は大丈夫と思っていた」の声。以前見破り「自分は騙されないと思い込んでいた」ため、被害に遭ってしまった人も。
電話機能の変更や家族間の対話で対策
被害のきっかけの多くは、家庭に設置している電話への連絡だ。「一番の対策は、犯人からの電話に出ないこと」と野口課長は強調する。通話録音機能付きの電話機に変更することや、怪しい番号をはじく防犯機器の活用、留守番電話設定にしてできるだけ電話に出ないこと、携帯電話だけにすることも一案だ。
日ごろから家族内のコミュニケーションを取っておくことも重要な対策の一つ。もし怪しい電話がかかってきても、焦らずに落ち着いてよく考え、「電話を切って本人や家族と連絡を取り事実確認をする」「家族しか知らない話をしてみる」などして対応を。「一人で悩まず、まず誰かに相談しましょう」
最近では「還付金詐欺を知らなかった」という声も聞かれるという。扇山署長は「特殊詐欺が注目され約20年が経過したが、その間に高齢者は入れ替わっている。地道な啓発活動に一層を力を入れ、特殊詐欺の被害は他人事ではないと知ってほしい。また、すぐに相談できる警察や交番にしていきたい」と力説する。
自転車事故が増加傾向
昨年１年間の宮前区内の人身交通事故件数は、３７８件（前年比22件増）。その内、自転車関連は87件（前年比９件増）と割合が大きくなった。
昨年４月からの自転車乗車時のヘルメット着用努力義務も話題になった一方で、歩道を走る自転車と歩行者との接触するケースも後を絶たない。区内の場合、坂道を下る際にスピードを出してしまい事故になることも。亀卦川和政交通課長は「自転車運転者は、被害者にも加害者にもなり得る。『自転車も車の仲間』という意識で、交通ルールをしっかりと守ってほしい」と呼び掛ける。
地域を守る力に感謝
宮前区内の安全安心について、扇山署長は地域の力の強さも実感している。「小学生の登校下校時には、多くのボランティアの方に見守っていただき、地道な活動が交通安全につながっている。各種関係団体には、日頃の活動をはじま季節ごとの交通安全運動協力いただき、大変心強い」と思いを語る。
窓口や店頭での対応で特殊詐欺の被害を防いだとして、同署は23件のコンビニや金融機関へ感謝状を贈った。「感度高く対応いただきありがたい。引き続き、安心安全なまちのために、ご協力をお願いしたい」と話している。
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