区内在住の漫画家・迫稔雄さん(50)がこのほど、児童養護施設「新日本学園」に支援基金を開設した。文化芸術やスポーツなどの習い事にかかる費用を賄い、子どもたちの可能性を広げることが目的。700万円を原資に、今後は企業や団体・個人からも協賛を募り継続的な支援につなげていきたい考えだ。
迫さんはヒット作「嘘喰い」や、カポエイラを題材とした雑誌メディアで連載中の「バトゥーキ」などを執筆する人気漫画家。地元でも中原消防署と連携した防災活動をはじめ、さまざまな家庭環境により同学園で生活する子どもたちとも、交流イベントや屋形船に招待し食事を共にするなど支援を行ってきた。
今回開設した「迫稔雄基金」は、こうした学園の子どもたちが希望する習い事を始める機会につなげることが目的。体験時にかかる費用や月謝、学園に招いた講師の謝礼金などに充てるという。迫さんは「その習い事が自分に向いているかどうかは実際に体験してみないと分からない。体験したことで人生が変わることもある。その機会を与えられたら」と話す。
現状、施設の子どもたちが学習塾や進学塾に通う場合は川崎市に補助金を申請できるものの、文化芸術やスポーツ系の習い事は対象外となる。そのため、やる気があっても経済的な理由で断念した子どもも少なくなかったという。同学園の三浦崇志園長は「やりたいことに挑戦できるというのは、子どもたちの可能性を広げることになるし、夢を叶える第一歩にもなる。もう諦めなくていいんだよ、と伝えた。本当にありがたい」と感謝を口にする。早くも子どもたちからは、水泳、ダンス、習字などの体験を希望する声が挙がってきているという。
地元にも協賛金募る
同基金の原資は、迫さんが漫画の原画展などで売り上げた600万円と、川崎リバティライオンズクラブ(山本賀也会長)からの協賛金100万円の計700万。継続的な支援のため、今後は地元企業や団体・個人などにも呼び掛け、協賛金を募っていきたいとしている。「迫稔雄基金」の口座は、川崎信用金庫・普通・3073707「社会福祉法人 新日本学園 迫稔雄基金」。
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