神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS
高津区版 公開:2017年7月28日 エリアトップへ

連載第一〇〇六回 高津物語 「伝染病の恐怖と西洋医学の受容」

公開:2017年7月28日

  • X
  • LINE
  • hatena

 十八世紀後半から十九世紀初頭の日本は、異常気象に落ち込んだ時期だった。

 世界気候の小氷河期、寒気のピーク期に当たり、その影響が日本列島に及んだと考えられている(小学館『体系日本の歴史』11―近代の予兆―青木美智男著)。

 多摩川河畔に位置する川崎は文政年間、度重なる多摩川の増水や氾濫で、床上浸水の被害が慢性化した。

 これにより文久二年(一八六二)六〜八月の夏季、川崎宿でコレラや麻疹が流行し、住民を伝染病の恐怖に陥れた(『川崎市史』)。

 「本道」と言われる長崎からたまたま、上京してきた久本岡家医院の『岡家一代記』には、「岡家第一世は長門国小縣三郎の一族にして享保七年(一七二二)長崎から出て来て、諸国万遊中、たまたま久本の地で治療したのが縁となり、本姓を名乗るのを憚り「岡」と改称、久本で医療院『岡栄壽院』を開設して三百年間余、岡家菩提寺―久本「大蓮寺」の岡家初代墓碑銘に「生国長崎緒方氏」とあり(俗名は岡東栄)、この人が久本「岡永寿堂」開店時の元祖であった。十六世紀半ば、岡家二代目は開顕同栄と云い三世は岡現栄である。この人の代に、自宅全焼を体験している故か、三十五才で若死にしている。四世は大徳道栄。身体肥大にして体重二十四貫、常に角力(相撲)を好めり」という。「産科術を妙に得て、十数里四方に迎えられ、広く久本の道栄と知られたるは、当代を以て、元祖として可なり」と。「往診は駕籠又は馬等にして、寸時も安座し居るのは閑暇なかりしと聞く」と言われた。

 頑健な岡道栄が、馬に乗り安政二年(一八五五)九月長尾鈴木藤助家に往診している。武州橘樹郡長尾村『鈴木藤助日記』第一巻文政二年九月十九日に「此日より藤助痘瘡発り夜に早く引籠り申候」以降、「久本(岡)道栄見舞・夜に入久本岡氏見舞・岡道栄見舞・岡氏来見舞也」、等頻繁に岡道栄氏が巨体を利して、馬に乗って長尾の鈴木藤助氏宅を訪問看護しているのが判る。溝口太田医院が往診したり、鈴木家が片町太田先生に薬を取りに行ったり当時の様子が判る。
 



生き生き、明るく楽しく

常にご利用者様の思いに寄り添った介護・看護サービスを提供しています

https://www.nanaki-kaigo.com/

<PR>

高津区版のコラム最新6

溝ノ口劇場

TOPIX No.42

溝ノ口劇場

相州雅屋さんとのコラボ公演 4月9日から開演します!

4月4日

市民健康の森だより

不定期連載

市民健康の森だより

第178回 「円筒分水スプリングフェスタ」に出店しました

4月4日

SELFフレンドシップ(船)へようこそ!

不定期連載コーナー

SELFフレンドシップ(船)へようこそ!

Vol.21 「human note」(ヒューマン ノート)について

4月4日

GO!GO!!フロンターレ

市民健康の森だより

不定期連載

市民健康の森だより

第177回 今年度最後の「炭焼き」を実施しました

3月28日

SELFフレンドシップ(船)へようこそ!

不定期連載コーナー

SELFフレンドシップ(船)へようこそ!

Vol.20 「川崎市教育委員会・生涯学習部文化財課の石井一樹さん」について

3月28日

意見広告・議会報告政治の村

あっとほーむデスク

  • 5月20日0:00更新

    0

  • 4月15日0:00更新

    0

  • 4月8日0:00更新

    0

高津区版のあっとほーむデスク一覧へ

コラム一覧へ

高津区版のコラム一覧へ

バックナンバー最新号:2025年4月9日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

X

Facebook