溝口駅近くの飲食店前などで定期的に開かれている野菜の路上販売がにわかに注目されている。末長在住の鈴木善徳さん(53)が営む「お美味(うま)さんくらぶ」だ。
そろえている野菜のほとんどが高津区産。大根やニンジン、キャベツといったよく見かける野菜のほか、菊芋やわさび菜といった珍しい作物も並ぶ。
もともと東京の繊維関係の会社に勤めていた鈴木さん。サラリーマン生活に嫌気がさし、30歳ころに地元末長に戻ってきた。そこで消防団に所属すると、農家の団員と仲良くなった。「その人たちが育てている作物がどれもおいしいので、地元にもっと広められないかと考えた」と話す。
さらに3年ほど前から買い物難民の問題に注目。地元野菜を車で街に届けることを思いつき、3年前から農家の野菜を買い取って路上販売を始めた。
ところが最初は1日に少量の野菜しか注文できず、卸売りは難しいと農家から言われた。また2、3件の農家と取引できれば十分と考えていたところ、作物の少ない冬に品数をそろえるのに苦労した。「野菜はいつでも採れると思っていた」と鈴木さんは当時を笑う。
その後、鈴木さんの考えは農家に徐々に理解され、現在は10件ほどと取引する。新作の交差点だけだった販売拠点は、溝口の踏切付近や幸区にも広がった。「宅配も受け付けているので、地元野菜をもっと川崎に広めたい」と今日も市内を駆け巡る。
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