川崎市教育委員会は、市内で地域風土に根差し、受け継がれてきた建造物や古文書、民俗芸能63件を「第1回川崎市地域文化財」として決定し、先月27日に公表した。高津区内からは9件が選ばれた。
選定は市の「地域文化財顕彰制度」に基づくもので、地域で育まれた文化財を後世に継承するのが目的。区内からは有形文化財3点、無形民俗文化財1点、有形民俗文化財5点が選ばれた。
溝口の変化を記録
有形文化財に選ばれたのは、大山街道ふるさと館所蔵の「上田文書」、新作八幡宮の石柱、橘樹神社社殿の3点。
上田文書は郷土史研究家の故上田恒三氏が幕末から昭和までの二子、溝口の情態をまとめた古文書だ。総数571点のうち、約450点が幕末、明治期の情勢について書かれており、当時の溝口が江戸との交流が盛んだったことをうかがわせる。同館の松田哲世さんは「明治時代は、廃藩置県や鉄道整備など大きな変化があったからでは」と話す。
同館は今後、文書をデジタル化し、若年層にも先人の町への思いや願いを継承していく予定だ。
願い成就の謝礼に
有形民俗文化財の一つに選ばれた下作延神明神社の手水鉢。戦災で資料が焼失したため正確な記録は残っていないが、紀年銘に1849年とある。江戸の芝二本榎町に住む「當五郎」が願い事成就の謝礼として、氏子の「徳五郎」の仲介で奉納したものだとされている。
同神社の金子善光宮司は「文化財認定が、地元住民が地域の歴史に触れるきっかけになれば」と話した。
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