川崎市は市内初の国史跡に指定されている橘樹官衙(たちばなかんが)遺跡群の整備計画の一部見直しを、2月7日に公表した。建物復元のための調査に想定以上の時間を要することが明らかとなったため、計画策定時よりスケジュールを1年繰り下げて整備を進める。
整備計画では、建物復元整備と史跡公園の基本設計を2019年度、保存整備工事を21年度に行うとしていたが、それぞれ1年繰り下げる。
文化庁との事前打ち合わせで「全国的に事例のない時代の建物の復元を行うため、歴史的根拠を明確にする事前準備に時間を要する」と助言を受けたため。市教育委員会担当者は「復元されれば7世紀後半の建物として全国初となる」と話す。
建物復元整備は23年度、公園整備は22年度中に完了予定。24年度には供用を開始する予定だ。
影向寺重文・史跡保存会の柴原裕会長は「整備の遅れは残念だが、川崎市の宝ともいえる史跡なので、しっかり調査して整備を進めてほしい」と話す。
市内初の国史跡歴史体感する場に
橘樹官衙遺跡群は、古代武蔵国橘樹郡の役所跡である「橘樹郡家(たちばなぐうけ)跡」=高津区千年=と古代寺院跡の「影向寺(ようごうじ)遺跡」=宮前区野川本町=で構成される。全国で発見されている郡衙跡(役所跡)は約60カ所あるが、郡寺とともに発見されるケースは珍しく「地方官衙の経過を辿れる希少な遺跡」として15年3月に市内初の国史跡に指定された。
市は同遺跡群を将来にわたり保存し、広く周知していくため17年度に「保存活用計画」、18年度に「整備基本計画」を策定。建物の復元や、市民の学習や憩いの場となる「史跡公園」の整備などが盛り込まれている。
市は「地域住民の交流の場としての利用とともに、歴史を体感できる場となるよう整備する」としている。柴原会長は「整備されればさらに注目され保存、管理は重要となる。これまで同様注力したい」と話した。
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