区内にある「末長杉山神社」(金子善光宮司)で、外国人留学生が「神職」の資格を取得するための手ほどきを受けている。神職は神輿が渡御される際にお祓いの祝詞を奏上するなど各種神事を司る大切な役割。先輩神職が付きっ切りで指導に当たる中、所作や祭事の手順を必死に見習うなど、充実した夏を過ごしている。
この夏、末長杉山神社で研鑽に励んでいるのは台湾出身の留学生・尹駿皓(インジュンハウ)さん。現在は國學院大學の神道文化学部に在籍し日本文化、とりわけ神社に関する学問などを専攻しているという。
尹さんの神職資格取得を支えている金子宮司によれば「彼との付き合いは5、6年前から」。ある日本語学校の教務主任の紹介状を携えて末長杉山神社にやって来たのだとか。金子宮司は外国籍の神職について「国際的で良い傾向」と考えており、かつては神職に就くべく来日し、現在は三重県の久居八幡宮で禰宜(ねぎ)を務めるオーストラリア人留学生の相談に乗った事も。その際の経験則を踏まえ、尹さんに応対してきたという。
苦節5年、念願の神道へ
「外国人が神職資格を取得するためにはハードルが高いことや将来の見込みといった、かなり厳しい話をしたにもかかわらず初志が揺るがなかったですね」と当時の印象を話す金子宮司。その後、尹さんは宮司が与える課題を着実にクリアし続ける事、約5年。この間、派遣社員で学費を蓄えつつ、苦労の末に日本語検定も高得点でクリア。留学生試験にも通り今春、30歳を目前に念願ともいえる國學院大學に入学。夜間コンビニのアルバイトで生活費を捻出しながら、神道の勉強に励んでいる。
現在は新作八幡宮の飛地にある集合住宅に居を構え、毎月行われる「月次祭」にも参列。学びの日々に明け暮れている。
所作や立ち振る舞いの手ほどきを担当するのは先輩神職の馬田築さん。熱血指導の甲斐もあり「素直な性格で覚えも良い。将来的にも有望」と太鼓判を押す馬田さんに対し、尹さんも「祭事の流れや手順など分からない事も多いが、一つひとつしっかり覚えていければ」と抱負を口にする。
現在、外国籍で神職資格を取得しているのは7人。大学を卒業する4年後「8番目かつ高津区で初めての外国籍神主」となるため、神道を極める日々が続いている。
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