区内宇奈根にある「カワサキ・スイミングクラブ」に所属するメンバーで構成される水球チームが、先月千葉県で開催された「第43回全国JOCジュニアオリンピックカップ春季水泳競技大会」(以下JO)の水球競技(中学生区分)で優勝。チームとして22年ぶりの快挙を達成した。
元々、水球競技は大会自体の数があまり多いとはいえないのが現状で、全国でプレーを愛好するトップ選手の殆どは、このJOを目標に活動している。同チームも毎年「JO優勝」を目標に掲げ練習を重ね「小学生の部」では幾度も優勝を重ねてきた。一方、JOにおいてメーン競技の一つとされる「中学生区分」では20年以上も優勝から遠ざかっており、小学生の時点で優勝経験のある現メンバーには高い期待が寄せられていた。中学3年生の選手たちにとっても、高校進学後は部活動として目標もインターハイ等に変わるため、今大会での優勝を最終目標として懸命に練習を重ねてきた。
集中練習でレベル向上
選手が所属しているカワサキ・スイミングクラブのプールは水深がやや浅く、水球競技(本来水深2mは必要)を行うには難しいプールであることから例年は平日に所属クラブのプールで泳力を磨き、週末は遠征で実戦勘を養っている。だが昨年頃からは新型コロナウイルスの影響で練習試合も年間で数回しかできず満足のいく練習ができない上、JOも相次いで中止を余儀なくされるなど厳しい状況が続いた。加藤健太コーチは「そのような状況でも、一人ひとりが水球を心から楽しみ、感謝の気持ちを忘れずに(JOで)優勝してくれたことを本当に誇りに思います」と感慨深げ。例年よりも試合勘、連係、スキル強化が困難を極める中「それを思わせないほど1回1回の練習を集中して取り組んでくれたので上々の仕上がりで試合に臨むことができました。また、遠征にいけない分(所属プールで)泳ぎこみに力を入れたのでどの相手にも泳ぎ勝つこともできました」と勝因を分析する。
「1対1」のこだわり結実
またチーム練習の不足を補うべく「マンツーマン」の戦術にこだわり、選手の「個」の力で局面を打破する場面も。さらにもう一つ、チームの強さを支えたのが選手同士のコミュニケーションで、プールを離れたミーティング時などはコーチや監督のアドバイスが必要ないほど、皆で意見を出し合い連係強化を図ってきたのだという。
西高津の「カリスマ」躍進
コロナ禍の苦難をも乗り越え、全国から集まった精鋭約20チームとの激戦を制した同チームの精神的な支柱となったのが、大会MVPにも輝いた斎藤昂泰選手。個性派揃いのメンバーをまとめ上げるだけではなくコーチ陣からの信頼も厚く、強いキャプテン意識でチームを日本一に導いた。中学水球の世界では「カリスマ」と呼ばれるほどの高名を拝すものの西高津中学校では部活にも属していなかったため「自分が水球をやっているのも知らないクラスメートもいましたね」と少し寂し気。そんな斎藤選手もこの春からは高校生。県内で本格的に水球ができる進学先はなかったが、関係者の取り計らいもあり、水球部を新設した神奈川工業高校(横浜市)へチームメイトと一緒に進学した。今後は県内初となる「高校水球インターハイ制覇」に向け、再度仲間と戦い続ける予定となっている。
高津区版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|