学校の働き方改革を踏まえ、部活動の指導や運営の民間移行が進んでいる。川崎市では昨年度から、スポーツ団体の協力を得て高津区の中学校で試験的に実施。教員の負担軽減など一定の効果がある一方、費用面や担い手など全市的な展開には課題も多い。
少子化に伴う生徒数減少や、休日の指導など教員の業務負担が課題となっている部活動の運営。文科省はこうした背景を受け、公立中学校の運動部の休日指導や運営を、地域のスポーツ団体などに段階的に移行する方針を示している。来年度から25年度末までの3年間を「改革集中期間」とし、各自治体に具体的な取り組みやスケジュールを定めた計画の策定を求めている。
川崎市では昨年度、NPO法人高津総合型スポーツクラブSELFの協力のもと市立東高津中学校で実践研究を開始。同法人は寺子屋事業運営や学校施設を活用した住民向けのスポーツ教室を展開し、地元での信頼性や認知度の高さから選出された。対象は陸上部や卓球部など5つの部活。これまで顧問教員2人で指導していた休日の活動日に指導者を派遣し、顧問1人が休める環境を確保した。教員からは「週休日が増え、以前より休養できた」「業務の負担軽減につながった」との声が上がる。今年度は9月から同校で試行を継続。来年2月までの半年間で、月に1回、顧問が出勤せず同法人のみで対応する日をつくり、学校から地域への移行を段階的に進める方針だ。
担い手など課題も
一方で懸念されるのは部活動の「クラブ化」により指導料など部員の経済的負担が増える点。費用面への意識調査や保護者の意見を募るため、今年度は参加費を取る講習会も企画する。市内全ての公立中学校(52校)で担い手が確保できるかも課題の一つだ。市教委では今後、試行結果を各校に周知し、地域の実情を踏まえて様々な受け皿の可能性を探る。「部活の枠組みそのものが変わるため生徒や保護者、教員の意識も徐々に変えていく必要がある。子どもたちの楽しさを第一に、理解が得られるよう慎重に進めていく」としている。
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