一般のドライバーが自家用車で客を運ぶライドシェアの4月からの運用開始を前に、神奈川県タクシー協会は運用指針となるガイドラインを策定し、3月8日に協会加盟の全事業者に通知した。運転手はタクシー事業者が面接などを通じて採用し、業務の前後に「遠隔点呼」を実施するなど、現状のタクシーと同水準の運用を推奨している。
運用が始まるのは、タクシー会社が管理する自家用車での有償運送を前提とした「日本型ライドシェア」。政府内で議論が続く「タクシー事業者以外の者が行うライドシェア」とは異なる、「タクシー会社主導型」のライドシェアとなる。
県内の対象エリアは、国交省がタクシーの配車アプリのデータをもとに「車両が不足している」と特定した川崎市、横浜市、横須賀市、三浦市の「京浜交通圏」。具体的には、【1】金〜日曜日の午前0時台から5時台で940台【2】金〜日曜日の午後4時台から7時台で480台が不足しているとし、4月の段階では【1】【2】とも不足分の5割の台数が配分される見通し。「日本型ライドシェア」への参入に際し、道路運送法に基づく事業許可を取得済みのタクシー事業者が保有している車両台数分を上限に「自家用車ドライバー」の車両を稼働できる。ドライバーの採用、研修、および使用する自家用車の点検もタクシー事業者が行う。
無事故2年が条件
採用条件は、直近2年間が無事故で、運転免許の停止処分を受けていない20歳から70歳未満の健康なドライバー。健康診断結果や運転記録証明書の提出を義務付け、合格後は労働条件通知書を発行して雇用関係を結ぶ。勤務時間は、原則として「週20時間未満」にとどめるよう求めている。
推奨する営業管理としては、デジタルツールを使った遠隔点検システムでの顔認証▽免許証の読み取り▽健康状態と睡眠時間の入力▽アルコール検知器を使った酒気帯び確認を「業務前点呼」とし、業務終了時にも点呼と本人認証を行う。終業後はタクシー事業者が配車アプリのシステムを操作することで、所定時間外の営業を防止する。
車両点検や自動車保険の費用、ドライブレコーダー、アルコールチェッカーなどはタクシー事業者が負担する。
県タクシー協会では、東京ハイヤー・タクシー協会のガイドラインをたたき台にしたが、運転手の採用形態など事業許可申請に必要な基準自体、まだ国交省から示されていない段階だという。
協会の幹部は「短時間で準備を進めなくてはならないが、今回の運用の結果次第で、『全面解禁』ありきのライドシェアの議論の流れが少しでも変わってほしい。この日本型ライドシェアの積極的な導入に期待したい」と話していた。
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