国立感染症研究所は6月26日、致死率が3割以上とされる「劇症型溶血性レンサ球菌(溶連菌)感染症」の今年の国内患者数が、1999年に統計を取り始めて以降、最多となる1101人(速報値)になったと発表した。川崎市内でも届出患者数が急増しており、今年6月23日までの累計報告数は14件。データが残る2006年以降で最多のペースとなっている。
劇症型溶連菌感染症は、主にA群溶血性レンサ球菌によって引き起こされる。飛沫や小さな傷口から感染し、初期症状は一般的な「風邪」と似ているものの、患部の急激な痛みを伴う腫れと発熱、咽頭炎などがみられるのが特徴。30代から80代以上の罹患報告が多く、全体の8割強を占める。発病後、数十時間以内に急速に症状が重篤化するケースも散見され、数時間で多臓器不全やショック状態から死に至ることもあることから「人食いバクテリア」と呼ばれている。
第25週までに14件
市内における劇症型溶連菌感染症は、今年に入りほぼ毎月2〜3件程度報告されており、第25週(〜6月23日)までの累積数は14件。区別では宮前区が6件で最も多く、次いで麻生区が3件。さらに中原区が2件、高津区、川崎区、幸区がそれぞれ1件となっており、統計データが残る2006年以降、最多のペースで推移している。
早期治療が有効
感染症や食中毒等の健康危機課題に対応している「川崎市健康安全研究所」(川崎区)の三崎貴子所長は「劇症型溶血性レンサ球菌感染症は発症早期の抗菌薬による治療が有効。初期症状『発熱、のどの痛み、四肢(手・足)の痛み、腫れ』がある場合は速やかに医療機関へ相談する事が重要で、重篤化を防ぐ意味で救急車を要請することも厭(いと)わず、とにかく早めに対応を」と、強く呼び掛けている。
患者数増加の理由について厚生労働省では「コロナ対策の緩和に伴い、海外でも多くの地域で(増加が)確認されており、昨夏以降はA群溶血性レンサ球菌による急性咽頭炎の患者数が増加していることも要因の一つである可能性がある」などと分析している。
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