川崎から世界へ――。「川崎フロンターレ」を背負っていく選手として期待されるGK・早坂勇希選手(25)と、MF・山内日向汰選手(23)。ともに、若手育成に定評があるフロンターレアカデミー出身で、桐蔭横浜大学サッカー部の先輩後輩として汗を流してきた間柄だ。川崎市制100周年を現役で迎える今、さらなる飛躍を誓うとともに、チームが地域と歩んできた軌跡を新時代へとつなぐ覚悟も示した。
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早坂選手がサッカーを始めたのは小1の頃。友人に誘われ夢中になり、当時から身体が大きくパワーとスピードを備えていたこともあり才能を開花。そんな息子の姿をみたスポーツ好きの父がサッカーを始めたことも大きな後押しになった。「親と意見がぶつかったこともあったけど、同じ目線に立ってくれたことは本当にありがたかった」と感謝を口にする。
山内選手は幼稚園でサッカーと出合った。「日韓W杯の余韻が残っていた頃かな」。それからサッカーにのめり込み、良き指導者にも恵まれたという。「学生の頃はよくコーチとぶつかって態度に出していた。でも今思うと、言われた通りだったなって思うことばかり」と振り返る。
2人とも口にするのは地域への愛着と感謝だ。今年初めて商店街へのあいさつ回りをしたという山内選手。「地元の方の温かい応援や、アカデミー時代から試合に足を運んでくれる方もいて、嬉しかったですね」。早坂選手も「まるで親戚のように気さくに接してくれるのが川崎の魅力。地域に支えていただいている分、結果で還元するしかない」と力を込める。
海外移籍や日本代表も数多く輩出しているフロンターレ。2人も刺激を受けながら日々練習に励む。早坂選手は「自分も川崎育ちの誇りがある。まずはデビューして活躍し、日本代表になって地域に恩返ししたい」と強調(※取材3日後の8月17日横浜FM戦でプロデビューを果たした)。山内選手も「フロンターレが強いと、まちも盛り上がると思う。個人としてはJリーグでゴールを獲りたい」と意気込む。
「初めて褒められた(笑)」
アカデミー・大学時代から切磋琢磨してきた2人だからこそ、互いに尊重もし合う。「ひなたは自分自身に対する厳しさがチームトップクラスだと思う。試合に勝ってもプレーに納得できなければ、とことん結果と向き合い自分を追い込む。それはプロになっても変わっていない。尊敬するところですね」。先輩からの思わぬ言葉に、「初めて褒められました!」と照れた表情を見せた山内選手。その早坂選手に対しては「ゆうきさんは普段の生活習慣から隙がない。人への接し方や、グラウンドを離れた仕事にも真摯に向き合う人格者。大学時代はよくお説教をもらって反省していました」とも。「それは期待の表れだから」と早坂選手も笑い、良き信頼関係をみせた2人。
100周年を迎えた川崎市の将来にも思いを巡らす。公園でサッカーを楽しんでいる子をよく目にするという山内選手。「僕も『いつかプロになるぞ』と思って公園で練習していた。挫折も経験したし、つらい事もあったけど、続けていれば達成できるという姿を見せたい。みんなと一緒に喜べるように、サッカーでまちに貢献できるように、もっとトレーニングを重ねたい」。早坂選手は「市制100周年という節目にフロンターレでプレーできる喜びを感じている。まずは応援してくれる皆さんに結果で恩返しすること。そして、僕たちが達成できなかったことを、未来を担う子どもたちが塗り替え、より良い川崎を作っていけるような環境を作ること」と思いを込める。
「プロスポーツ不毛の地」で、市民との絆を深め成長を遂げた川崎フロンターレ。その若き2人が新たな歴史を刻む。
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