SDGs(持続可能な開発目標)の普及と推進を目的に、優れた取り組みを表彰する「かわさきSDGs大賞」。今秋行われた今年度の表彰式では、高津区の企業2社が経営部門の優秀賞に選ばれています。今回は、その2社を紹介します。
収穫されない実、アロマに 株式会社ノンバーバル
アロマ製品の製造などに取り組む坂戸の(株)ノンバーバルは、川崎市内産の収穫されなかった柑橘類を活用したアロマ製造プロジェクトが評価され受賞した。
夜間大学に通いながらアロマの製造・開発を担うのは、自社ブランド「souveniraroma」も創設した大学3年生の高橋淳音(あつと)さん。父・昌也さん(代表取締役)が同社を設立したことをきっかけに、淳音さんが以前から趣味だったアロマの活動を生かしアロマ事業として参加。部門責任者を務める。
2年半前からは市内産の規格外の柑橘類から精油を製造・製品化する「かわさきカンキツオイルプロジェクト」に取り組んできた。地元農家や個人宅の庭で収穫されずに残されているミカンや柚子などを使用して山梨県にある釜で蒸留する。
農家からは「普段出荷しないものも買い取ってもらえ助かる」といった声も聞かれたといい、淳音さんは「農家さんとの繋がりも広げることができた」と手応えを語る。パッケージやボトルの印刷、充填等も、高津区内の企業や福祉事業所が担うなど、内外共に地元産の製品になった。
アロマは実の皮のみを使用しているため、製造工程の体験機会として子ども達に果物の皮むき体験等を実施し、中身を食べてもらう催しも開催した。今後は「実の中身も活用して市内の焼き菓子店等とコラボし菓子製品も作れたら」と淳音さん。昌也さんも「ローカルな広がりも増えてきたので地域と共に楽しんでいきたい」と話す。
素材の「物語」生かし製品に 株式会社SKLO(スクロー)
溝口の(株)SKLOは、革素材を中心とした自社ブランド商品の製作・販売、ワークショップなどを手掛ける企業。革製品の事業で培った経験やノウハウを生かし、イベント等で廃棄された資材などを再利用し、新たな製品を作り出すアップサイクルに取り組んでいる。今回もこのアップサイクル事業が評価され、経営部門・優秀賞を受賞した。
例えば同事業の一つ、廃棄ボール活用事業では、サッカーやバスケットボールなど、プロチームで使われなくなったボールを活用しアクセサリー素材として加工。その素材を用いたアクセサリー作りのワークショップを、ボール所有者だったチームのファンが集まるイベントなどで開く。「プロチームが使っていたボール」という素材の価値を生かして形を変えてストーリー展開することで、チームのファンに喜んでもらえる人気企画になった。
代表取締役の齊藤倫平さんは学生時代から捨てられた物を見ると「何かに使えるのにもったいない」と、廃棄された物に自然と目が向くように。現在もイベント会場で開催年の入った1回限りの垂れ幕を目にして主催団体に声をかけ、その破棄素材を翌年のイベント公式グッズにアップサイクルするなど「もったいない」の精神は事業に生かされている。
「知らず知らずのうちに様々な現場で捨てられる物は多いが、宝の山だと思って」と齊藤さん。「ものづくりのまち・川崎は、まだアップサイクルできる可能性があるまち。今後も地元事業者と一緒に何かできたら」
高津区版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|