川崎市は、12月18日(水)から高津、中原両消防署の7救急隊でICT等のデジタル技術を活用した医療機関と情報連携の実証実験を開始する。来年2月中旬まで。救急活動時間の短縮と救急隊員の負担を軽減することが目的。実証実験の結果を検証し、来年度以降、同システムの導入を検討する意向だ。
出場件数 増加で
2023年度の川崎市内の救急出場件数は、19年度よりも約1・2万件増加。通信指令センターから派遣要請を受けて、搬送、帰署するまでの救急活動時間は85分(23年度平均)で、19年度よりも約8分延伸しているという。
今回の実証実験では、1回の出場の活動時間を短縮することで出場可能な救急車を確保すると同時に、救急隊員の負担を軽減することが狙い。
これまでは現場に駆け付けた救急隊が搬送先の医療機関を探す際に、電話で傷病者の情報を伝え、受入れ可否を確認してきた。今回の実証実験では、救急隊にタブレット端末を配備。端末に傷病者の情報や画像などを入力すると、今回参加する5つの救急告示医療機関と情報を共有でき、搬送先の医療機関の選定や、医師への引き継ぎに要する時間を短縮することができるという。
市消防局の担当者は「現在、救急隊と医療機関が口頭で傷病者の名前や既病歴といった情報を確認し伝えている。システムを利用することで伝言ではなく、情報共有できるため、時間の短縮が期待できる」と話す。
ほかの自治体でも救急隊のICT活用が進められており、札幌市では「搬送後の救急隊の事務処理の時間が半分以下になったと聞いている」と同担当者は事例を語る。また宮前、麻生、多摩の3消防署では、11月18日から同じ取り組みを進めており、けがの様子や心電図を画像で共有し、受入れ判断につながった例もあるという。一方で、新しいシステムのため、救急隊が端末の入力に慣れるまで時間を要することが課題にあがる。
市では、2月中旬まで実証実験を行った後、効果の有無や必要な機能等を検証し、システムの導入を検討していく意向だ。市の担当者は「有効であれば、議会に示し、仕様などを固めていきたい」と話している。
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