市民団体「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」(関田寛雄代表)は3月1日、『実効性ある人種差別撤廃条例の制定を求める意見書』を川崎市と川崎市議会に提出した。悪質なヘイトスピーチに刑事罰を科し、市によるインターネット対策を盛り込み、「一日も早い条例実現」を訴えた。
在日コリアンをはじめとした外国人市民を標的にしたヘイトスピーチ(憎悪と扇動表現)を巡っては、2016年に国でヘイトスピーチ解消法が制定され、川崎市では公的施設利用に歯止めをかけるガイドラインが4月から施行される。一方でヘイト集会は依然行われ、ネット上での被害が後を絶たない。差別のない社会を実現するには「実効性のある条例制定が必要」と同団体は訴える。
意見書は外国人へのヘイトスピーチに限定せず、住居、福祉、教育、行政サービスなど社会生活全般にわたる「人種差別撤廃条例の制定」▽「死ね」「殺せ」といった最も悪質な言葉には刑事罰を科す▽インターネット上のヘイトスピーチ対策として、市がモニタリングを行う▽外国人市民を対象にした人種差別オンブズパーソンの設置――などを盛り込んだ。今月施行される公的施設ガイドラインについても、迷惑要件を削除する改正を求めた。
同団体の崔(チェ)江以子(カンイヂャ)さんが「市議会、行政へ信頼を込めたラブレター」と述べたのに対し、松原成文市議会議長は「(条例で人種差別を禁止した)世田谷の状況も勉強させていただきたい。しっかり受け止めさせていただいた」と応じ、同団体と「両思い」であるとの認識を示した。一方、伊藤弘副市長は「(川崎市としても)差別と偏見のない社会は誰もが望む。そういった形で受け止めていただきたい」と語った。
1日の記者会見で、社会福祉法人青丘社理事長で同団体の裵(ペェ)重度(チュンド)さんは「在日コリアンは真綿で絞め続けられる状況。(こうした中で)一方的にヘイトスピーチをまき散らされている。そういう思いの中、条例を求めている」と語った。
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