蟹ヶ谷で集中豪雨によるがけ崩れで死者6人、負傷者12人の被害をもたらした災害から今年で29年。二度と同じ悲劇を起こさぬため、区内では災害を風化させまいと活動する人たちがいる。事故当時、現場に駆けつけた現・高津消防団団長の森勝夫さん(73)に話を聞いた。
がけ崩れが起きたのは1989(平成元)年8月1日の午前3時ごろ。前夜から降り続いた豪雨で斜面が高さ25メートル、幅10メートルにわたって崩れ、住宅がつぶれて住民3人が生き埋めになった。消防団員の森さんが現場に駆けつけた時には消防隊員や警察官が救助作業にあたり、建設業者による特設作業隊も出動していた。「それから団員を呼びに一旦現場を離れて戻ったら『ドドドッ』という轟音とともに斜面が再び崩壊した」。この2次災害で救助にあたっていた消防隊員15人が土砂に巻き込まれた。「その後も夜を徹して救助作業が続いた。30年近い団員活動の中で一番辛い記憶」と振り返る。
区内では災害を風化させまいと、特設作業隊が毎年の高津、橘地区の防災訓練で当時のパネルを展示したり、消防署、消防団では教訓として語り継いでいる。森さんは「あの悲劇を忘れず、高津でも災害が起きうるということを認識し、地域一丸で防災、減災に取り組むことが大切」と語った。
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