令和の時代が幕を開け、1年2カ月後に迫った東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京2020)。その大会を盛り上げる火付け役として活躍しているのが、元川崎フロンターレ(以下、川崎F)プロモーション部部長の天野春果さんだ。川崎での経験、現在の競技大会組織委員会での取り組み、将来について語ってもらった。
――天野さんが組織委員会に参加したきっかけは。
「スポーツを学びたくて米国に留学した時、ボランティアで加わったアトランタ五輪で街が一色になったことが忘れられなくて。その後、長野冬季五輪、サッカー日韓W杯にもスタッフとして活動し、一大スポーツイベントで残るは自国開催の夏の五輪のみだと。私の目標はスポーツの力でこの国を変えることなので、自国で行われるアマチュアの祭典を経験することが今後の目標達成につながると思ったんです」
――今年4月に都内の全公立小学校に東京2020の算数ドリルを配布されたそうですね。川崎F時代にも天野さん発案のドリルは話題でした。
「算数ドリルなら子どもたちが楽しく学べ、東京2020の機運醸成にもなると思って。ただ、川崎で前例があっても一筋縄ではいかず。企業数社の協力を頂き、まず発信力のある渋谷区をモデルエリアとして昨年試験的に導入しました。メディアにも取り上げられ、都内62自治体の校長会などで説明を重ね、約1年かけ都内全域に広げました。計画を実行できた達成感と同時に、上丸子小(中原区)から始めた川崎Fドリルでご協力頂いた、川崎の学校の先生やサポーター、地域の方にも改めて感謝ですね」
――東京2020の算数ドリルは東京以外にも広げているようですね。
「東京2020は世界の祭典なので、東京以外の子どもにも関心をもってほしくて。ドリルは今、自治体での予算化と教育委員会の了承で、静岡全域、鹿児島県指宿市、山形県村山市、千葉県市川市で導入が決まりました」
――川崎F時代にも次々と企画を打ち出しました。
「地域や川崎Fに愛着をもつ方々の声に耳を傾け、立案することを心掛けていました。スポーツは強さも大事だけど、愛されることがもっと重要。“フロンターレ牧場”も地元との連携でしたし、思いを汲んでこそ生きる。川崎での経験が原点です」
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