9月29日に開演する「民話オペラ」の総監督を務める 佐藤 征一郎さん 末長在住 79歳
「本物」常に追い求めて
○…オペラの世界に早くから身を投じ、大学院卒業後、ドイツへ。その抜群の歌唱力はもとより、生来の柔軟性を活かした表現力がオペラの本場で瞬く間に認められ、当時も今でも異例となる有名劇場の”座付き”に。約30年前に帰国するまで、超が付くほどの一流オペラ歌手として海外を拠点に活動し、その実績・功績は枚挙に暇がないといった様子。次々飛び出す眩いばかりのエピソードはどれも珠玉。感嘆のため息しか出てこなかった。
○…自身が過ごした若き日々を振り返り「常に本物を求めていましたね」とキッパリ。そこには生涯を捧げてきたオペラの「真髄」や「ポリシー」からは遠くかけ離れ、ともすれば集客目的のパフォーマンスにも捉えられかねない近年の業界への危機感も。苦言からは、大御所の不遜さよりも、ひとりの音楽家として、オペラの世界の将来を憂う「責任感」のようなものを感じさせてくれた。
○…本物を追求する姿勢は総監督を務めた今回の「民話オペラ」も同じ。市民(アマチュア)合唱団が参加しようとも、芸術と対座する『本物の何か』あることを願い、舞台制作を指揮してきたという。コンサートのソリスト(独唄者)としても世界中で高い評価を受けるなど、オペラの世界にとどまらす活躍の場を拡げてきただけに、妥協を許さず常に高みを目指すリーダーの気構はスタッフやキャストに好影響を及ぼしているに違いない。
○…傘寿(80歳)を前にしても、老け込む様子はまったく見せず、地元・末長台自治会の仲間と男声合唱団を結成し指揮者として活動するなど、積上げた経験をすべて地域の音楽文化向上に注いでいる。「病気になる予定?目下ありませんよ」と血気盛んに語ってくれた。本物とは何かの問いに答えを見つけるその日まで。
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11月22日
11月15日