昨年の台風19号による排水樋管周辺地域の浸水被害を受け、川崎市は、短期対策として樋管ゲートの操作手順見直しや電動化などを実施。区内の排水樋管3カ所で8月5日と6日、遠隔動作確認など初の訓練を住民に公開した。
区内では二子排水樋管、宇奈根排水樋管、諏訪排水樋管の3カ所、各2回ずつ行われた。
浸水深が2メートルと最も高く、被害が大きかった諏訪排水樋は、住民37人が参加。電動化したゲートの遠隔操作、操作手順の確認、排水ポンプ車からホースを設置をする様を確認した。
この日は、ゲートを閉める判断基準となる、諏訪排水樋管付近で最も地盤の低い地点からマイナス1メートルの高さ、9・49メートルに多摩川の水位が達し、ゲート内で順流が確認できない状況を想定。排水樋管の操作盤により、職員がゲートを閉鎖した。
市職員はゲートが締まるまでに10分かかることを説明。住民からは、排水樋管ゲートに設置される監視カメラ映像の公開について質問が上がった。市職員によると、カメラ映像と水位計の情報は、今年中にホームページ上で公開する予定だという。
排水ポンプ車の機能は1分間に30トンの水の排水が可能。排水量として「25メートルプールの水を10分間で排水できる」と説明した。
また、ゲートを開けるときは、中部下水道事務局から遠隔で操作した。
中長期の方針求める声
訓練を見守った住民からは「(ゲート閉鎖で)内水氾濫による浸水は避けられないことについてどうするのか」という懸念の声が上がった。市職員は「短期対策の取り組みでは不十分。河川の浚渫工事や(多摩川上流の)小河内ダムの治水対策など、引き続き国に求めていく」と答えた。
市が示した短期対策による効果の検証では、諏訪排水樋管地域は、昨年台風19号の浸水被害と比較し、床上浸水面積は約4割減少。住民から対策不足の不満が上がっている。これに対し市は、雨水貯留施設や大規模放流幹線などの整備について中長期の対策検討を今年度から実施している。
諏訪青年部の部長を務める小黒正思さんは「短期的な取り組みはわかったが、中長期対策が示されなければ。先月の九州の豪雨などを見ると不安が募る。青年部としても災害時、何ができるのか考えなくてはいけない」と危機感を募らす。
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