ヘイトスピーチに全国初の刑事罰を適用する「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」が施行されて3カ月。排外主義的な主張を唱える団体による街宣は今も続き、条例の効力は発揮しきれていない。差別に反対する団体からは「市や市議会は反差別の姿勢を示してほしい」と抑止力を望む声が上がる。
不当な差別的言動に対する認識について福田紀彦市長は9月市議会で力を込めた。「あらゆる差別を許さないとの決意を持って、差別を生まない土壌を築き、公正な社会の実現を目指して取り組みを進めていく」
ただ、排外主義を唱える団体による街宣活動は今も続く。9月20日には「日の丸街宣倶楽部」が街宣活動をJR川崎駅前で実施し、日章旗や旭日旗を掲げながら演説を行った。危機感を募らせた人たちは「レイシスト帰れ」と一斉に声を上げた。同倶楽部の演説は差別反対を唱える側の声にかき消された。
同条例全面施行後の街宣で「死ね」「殺せ」といった発言はなくなった。福田市長は7月中旬の会見で7月12日に行われた街宣について「条例12条に抵触するものではない」との見解を示した。これを受け「ヘイト発言がなかったと認定された」と、排外主義を唱える団体は街宣活動を続ける。「政治活動の形をとり、韓国・朝鮮人や中国人への民族的敵愾心を煽っている」と、市民団体「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」の三浦知人さんは指摘する。
毅然とした対応を
同条例を巡っては、インターネット上の書き込み対策も課題だ。市に救済措置を求めた約300件の案件に対し、市が差別防止対策等審査会に諮ったのは9件、削除要請する方針が決まったのは2件と、担当部署の組織体制の不十分さが議会で指摘されている。
条例化の流れは相模原市をはじめ全国に広がりを見せようとしている。三浦さんは「(全国で注目されているだけに)市や市議会は毅然と条例を適正に運用し、差別のないまちづくりを進めてもらいたい」と強調する。
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