静岡県熱海市で7月3日に発生した土石流災害。川崎市消防局は救助隊員89人を派遣し、高津消防署(熊谷智子署長)からは9人が7月6日から12日まで救援活動を行った。指揮隊長・近藤秀樹さんと救助隊長・鈴木誠二さんが現場の状況などを語った。
同署は第2〜4次と続けて派遣し、鈴木さんは6日に現地に入った。「イメージはしていたが、想像以上だった」。急な坂に、狭い道。重機が入れないところはすべてスコップによる手作業だ。泥は日が経つにつれ、粘土質に変わり体にまとわりついた。有力情報がない中の捜索は難航を極めた。「泥の撤去は全然進まなくて変化が見えなかった。撤去しても坂になっていると、また上から泥が流れてくる」。先の見えない作業だったが、精神面を支えたのは「埋もれてしまった人を助ける」―。行方不明者を見つけたいという思い一つだったという。行方不明者は見つけられなかったが、「3日間やり切った。後輩たちにもこの経験を伝えたい」と話した。
4次で指揮隊長として派遣された近藤さんは10日から加わった。泥の撤去は進まず状況はあまり変わらなかったが、天気は回復した。足元が悪い上に、猛暑の中での胴長を着用しての作業は体力を大幅に消耗させた。「屈強な隊員でも、1回15〜20分が限界だった」と振り返った。熱海市では現在も捜索活動が続けられており、行方不明者は12人となっている(7月18日時点)。
同署の熊谷署長は「高温多湿の厳しい環境の中、二次災害の発生を注視しながら、けがなく帰ってきてくれたことに感謝している。今回の経験を今後の活動に生かしてもらえれば」と隊員らをねぎらった。
今回の救援活動の現場の状況を知ってもらおうと、同署は入口にある掲示板に8月中旬まで写真を掲示している。
警戒区域97カ所
高津区内の土砂災害警戒区域は97カ所で、市内で4番目に多い。同署の近藤さんは「土砂災害はどこにでも起こりうる災害。早い段階で避難するなどの備えが必要になる」と注意喚起した。
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