2月8日に発表された「第94回アカデミー賞」のノミネート作品の中で、日本映画として初めて作品賞の候補に名を連ねた「ドライブ・マイ・カー」。この映画で象徴的に使用されている赤い車を提供すべく奔走したのは、区内坂戸で自動車整備工場を営む天川恭男さん。劇中に登場するこの「サーブ」という年代物で希少車種の取扱いを得意とする天川さんの下には、同作で車の魅力を知ったファンからの問合せ等が相次いでいる。
天川さんが代表を務める「A2ファクトリー」は、主力として取り扱う車種「サーブ」をはじめ輸入車の修理やメンテナンス等を手掛ける自動車整備工場。この工場宛に映画作品の中で使用する車の手配依頼が届いたのは、2021年の初頭。
元々「ドライブ・マイ・カー」の原作本に登場するのは黄色の「コンバーチブル」と呼ばれる幌付きのオープンカーだったが、作品の映画化に際し、風景に映えるようにと赤色で屋根の付いた2ドアのサーブに白羽の矢が立ったのだとか。
依頼を受けた天川さんは、顧客の中にオーダーに見合うサーブ愛好者がいたため、映画での使用許諾の取り付けなどに奔走。念入りな整備を施し、万全な状態でロケ地(広島県)に届けた。「遠方での使用となるため特にエンジン回りの整備はしっかり行いましたよ」と当時を振り返る。
象徴的なアイテム
天川さん渾身のメンテナンスもあり「赤のサーブ」は劇中で躍動。1台の車が織りなす様々な人生模様や登場人物の想いを表す同作品の象徴的なアイテムとして、重要な役割りを果たしている。
昨年8月の公開後は、安定した評価を得る一方、先月「アカデミー賞」の作品賞に日本映画として初めてノミネートされると、人気が再燃。広島県のロケ地巡りなどが話題となる中「あの赤い車」の整備を手掛けた天川さんの下にも、サーブ関連の問合せが多数寄せられるように。「断ったんだけど、エンドロールに社名が出ちゃったんでね」とやや困惑気味に話す。だが「(サーブは)1990年代の車だけど飛行機会社の製造だけあり、エアバックがない時代から安全性の高さは随一なんですよ」と、年代物かつ希少車種の思わぬ形での「復権」に嬉しそうな表情も。映画は3月下旬に受賞作が発表されるアカデミー賞において計4部門でノミネートされており「選ばれたら良いですね」と、吉報を心待ちにしている。
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