大麻を所持するなどで検挙される未成年者が全国的に増加している。神奈川県内でも昨年の検挙数は117人で、6年前に比べて約10倍。川崎市内の警察署担当者は、インターネットで入手しやすくなったことや「大麻はたばこより害がない」という誤った情報のまん延が背景にあると指摘する。
大麻所持などで検挙された県内の未成年者は2017年までは15件前後で推移していたが、18年に47件と急増。昨年は117件だった。覚せい剤やその他薬物は横ばいだが、大麻だけが増え続けている。
増加の背景に挙げられるのが、誤情報のまん延だ。ネット上には「大麻は害が少ない」「リラックス効果がある」との誤った書き込みがあふれており、鵜呑みにする未成年者が多いという。県警が20年に県内で検挙された98人のうち80人の供述をまとめたところ、危険性・有害性の認識について約半数の43人が「ない」と答えていた。
ネットの普及で、未成年者にとって大麻が身近な存在になってしまっているのも要因の一つ。SNSでは、大麻を意味する「野菜」や、手渡しを意味する「手押し」などという隠語を使ったやり取りが散見される。動画投稿サイトでは大麻を吸っている映像なども見られる。興味や好奇心、友人からの誘いがあると、簡単に手を出せてしまう状況という。
市内警察署の担当者は「『危なくない』という認識は誤り。依存症に陥り、さらに強い刺激を求めて覚せい剤やMDMAなどの危険ドラッグに手を出してしまうケースがある」と警鐘を鳴らす。
小学生から学習を
県薬物乱用防止指導員協議会高津支部は、区内の小中学校で薬物乱用の危険性を訴えている。
保護司として保護観察中の少年と接した経験もある指導員の一人は「小学生で授業をするのは早いのではと言われることもあるが、中学生での検挙がある以上、やらないといけない」と話す。
検挙後の支援が課題
川崎市内にある薬物依存者らの回復支援施設「川崎ダルク」で施設長を務める岡崎重人さんは、検挙された未成年者のその後の支援が足りていない現状を危惧する。「社会的制裁で地元などでの居場所がなくなると、子どもは孤立してしまいがち。その結果、他の薬物や特殊詐欺などの犯罪にも手を出しかねない」と訴える。
岡崎施設長は学校講演などで、依存症の怖さと人とのつながりの大切さを語っている。「薬物に逃げなくても済むよう、親身になってくれる大人が子どもの近くにいる必要がある」と話す。
相談ダイヤル
薬物相談電話(警察)
【電話】045・664・9110
川崎ダルク
【電話】044・798・7608
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