秀でた技術で今年度の「刀剣研ぎ」日本一の座に就いた 倉田 竜太郎さん 溝口在住 48歳
「研鑽の日々」これからも
○…日本刀の研磨を生業としている「刀剣研ぎ師」として2020年4月、溝口の自宅一室を改装し「倉田日本刀研磨工房」を開業。全国の日本刀コレクターなどから寄せられる「研ぎの依頼」に応じ、文字通り「研鑽の日々」を過ごす。
○…その技術の特徴を端的に、と尋ねると「基本に忠実、ですかね」とポツリ。一般的に日本刀を鑑賞する際のポイントとして「刃文(はもん)」の美しさが良く知られているが、それと同等に「全体の調和を意識した『研ぎ』」についても追求する。結果、先頃審査が行われた現代刀職展の刀剣研磨・鎬造の部において最高賞となる文部科学大臣賞を受賞。今年度「刀剣研ぎにおける日本一の技術者」として認められた。
○…父親は、日本屈指のアクション俳優としてTVドラマ「Gメン75」などにも出演する倉田保昭氏。武道家としても名を馳せる父の背中を追うように自らも空手の世界に飛び込み、全空連の公認三段の力量を誇る。かつては都内で道場運営も手掛け、武道に興味関心を抱く中で、座った姿勢から素早く刀を抜いて敵をきり倒す「居合い」という技に魅せられたのが、日本刀と出逢う契機になったのだとか。その後、2013年からは刀研ぎ師の師匠に弟子入りして技術を磨き、独立への道を切り拓いてきた。今回の最高賞受賞は大きな転機になりつつあり「少しだけ仕事の依頼が増えましたね」と嬉しそうな笑顔で喜びを語る。
○…一見、順風満帆な歩みのようにも映るが、一時は父と同じ俳優を志したり、レコーディングの技術者の仕事に就いたりと紆余曲折のキャリアを重ねた経験も。日本一と評された研ぎの技術を支える「全体の調和」の裏側には、こうした稀有な人生模様が、多分に影響しているに違いない。
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11月22日
11月15日