川崎市役所職員の男性育休取得率が、57・8%(2023年度)となり、初めて5割を超えた。一方、市内の民間企業・事業所の取得率は低く、「10%未満」が約7割を占めており、課題となっている。
市は独自の行動計画の下、25年度までに部署によって取得率50%以上、85%以上を目標に掲げ取り組みを進めている。
その一つが17年度から毎年開催している「イクボスアワード」。上司の育休に対する好事例を部下が推薦、投票で表彰者を決めるなどし、機運を高めている。
また、管理職への研修も実施。外部講師を招き、育休者の業務を部署全体で補うことで業務効率化につながることなどへの理解も深めてきた。
育休期間中は、代替職員の任用も行うことで、休業中のフォロー体制も整えている。また、育休を取得した職員の体験談を聞く場も設け、不安払拭にもつなげている。
こうした取り組みにより、19年度は10・3%だった取得率は22年度には37・4%に上昇。翌年度には20ポイント近く伸び、57・8%となった。そのうち取得期間は「1カ月以上半年未満」が最も多く、約5割を占める。市の人事部担当者は「育児休業取得を検討している男性職員本人と、その上司などへの地道な取り組みが着実に浸透してきている」と話す。
民間は「10%未満」多く
一方、民間企業の取得率は市の労働状況実態調査(23年度)によると、「10%未満」が全体の半数を超えている。大企業では約6割、中小企業では約7割が「10%未満」の取得率だった。22年度に比べ改善傾向にあるものの、環境整備が進んでいない状況だ。
男性の育休取得の課題として、人手不足も一因となっている。市男女共同参画センター(すくらむ21)の脇本靖子館長は「業務分担の調整や効率化などにより、体制を整え、男性が育休を取得しにくい職場の雰囲気を解消し、どの労働者にとっても制度を利用しやすいことが必要。男性が育児参加することの意義を考えてほしい」と述べる。
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