2月に発行した「新作風土記」の編集委員会の代表を務めた 宮田 進さん 新作在住 78歳
”新作の心”後世に
○…「地元新作で生まれ育ち、新作の風土に育てられてきた。何か恩返しをしたい思いがあった」と執筆した思いを話す。風土記には、歴史や地理のほか、学生時代に父親から聞き、書き留めていた戦時中の話、地域住民の「花見の会」、新作の葬儀など、地域に伝わる慣習や生活の様子を綴っている。「みんなで協力しあう気持ちを持つ地域。そうした風土を後世に伝えておきたい」と話す。
○…橘小、橘中出身。幼少期の遊び場は近所の里山。地域の兄貴分に連れられ「春は山百合、秋はアケビや栗の実をとりにいった」と懐かしむ。勉強が分からない時は薬師院の住職「大先生」の元へ。「にこにこ笑い、答えは絶対に教えず、答えの導き方を教えてくれる」。因数分解を理解した時の嬉しさは今でも心に残る。遊びも勉強も新作の人が教えてくれた。
○…横浜国立大を卒業後、学校教諭の道へ。教育委員会、教育研究所に20年近く在籍し、教員の学習指導に携わった。伝えていたことは「子どもたちからいくつも答えが出るような質問を」。「大先生」の教えが根底にある。定年前、校長を務めた学校で不登校の子どもがいた。「しっかりケアを」と担任に指導するが、クラス指導、学習研究など現場の教員には限界があった。定年後、退職した教員と不登校児童、生徒の学校復帰を支援する団体を立ち上げた。「現役時代の反省から。少しでも子どもや現場の力になれば」と設立の思いを話す。
○…「蝋梅、梅、桜。皆さんの庭に植えられ、新作の春は美しい」と顔を綻ばせる。個人宅の庭で行う「花見の会」は、現在100人を超す住民が参加する。「皆さん手際よく自分の持ち場で力を発揮する。私は一升瓶を手土産にしてね」。自然や人を慈しむ、新作地域の気質を伝え残したい。
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11月22日
11月15日